【経済的支援が成長ホルモン分泌不全性低身長症の治療に与える影響】 財団法人成長科学協会の症例データベースを用いて、経済的支援の有無が小児慢性疾患医療費助成の終了基準到達後の治療に与える影響について検討した。2001年1月~2013年5月に助成終了基準身長に到達するまで小児慢性疾患医療費助成基準を満たした696名について、助成終了基準身長に到達後も治療を継続した者の割合は、何らかの公的経済的支援(市町村小児医療費助成等)のある患者で高かった。臨床的・その他の要因について多重ロジスティック回帰分析を用いて調整しても結果は同様であった。peer review誌に投稿中である。 【妊孕性知識の啓発を通じた、特定不妊治療費助成制度の効果的運用】 2014年4月、特定不妊治療費助成制度では早期治療のインセンティブとなるような年齢要件を伴った制度改正が行われたが、我が国の人々の妊孕性知識は、先進諸国に比べて低いとの報告がある。助成制度の効果的運用には、妊孕性知識を啓発し、計画的なライフプランや早期受診を促すことが重要である。(1) 35歳から44歳までの子供のいる男女690名について、初産年齢と10年以上前からの妊孕性知識について重回帰分析で検討したところ、10年以上前から知識があった女性では初産年齢は2.3歳若かった。妊孕性知識により、自身の家族形成についてインフォームドチョイスを実践できる可能性が示唆された。(Hum Fertil誌に採択済)(2)妊孕性に関する情報とその他の情報(葉酸摂取や社会保障に関する情報)で受け手の心理的負荷に差があるか明らかにする目的で、20歳から39歳までの将来子供が欲しい男女1455名を対象に、ランダム化比較試験を実施した。妊孕性に関する情報介入群では、男女とも妊孕性知識が有意に増加した一方、不安も有意に増加していた(peer review誌に投稿中)。
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