研究課題/領域番号 |
14J01639
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
豊永 慎也 大阪大学, 情報科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
|
キーワード | 無線センサーネットワーク / 仮想化 / 脳機能ネットワーク |
研究実績の概要 |
無線センサーネットワーク(WSN)はIoTに統合されることを想定されており、複数のWSNを統合、管理するうえでWSNの仮想化は重要である。これまでにWSNの仮想化技術の研究はなされてきたが、その多くにおいてノード故障や追加などの環境変動が考慮されていない。環境変動が生じる場合においても高い通信効率を実現し、適応的に進化するネットワークの一つに脳ネットワークがある。そこで、平成26年度の研究では、脳ネットワークの階層的なモジュール構造とスモールワールド性を導入し、ノード故障に対して接続性と通信性能を保つロバストで適応的な仮想トポロジーの構築手法を提案した。VWSNの構築方法はスモールワールドネットワークを階層的に統合することにより、高い通信性能と適応性を実現する。ただし、脳ネットワークにおいてモジュール間の接続関係については様々な主張があり、ロバスト性を高くするモジュール間の接続方法については分析が必要である。提案手法は二つのステップからなっており、まず第(N-1)層VWSNを一つの仮想的なノードとみなして第N層VWSNでスモールワールドネットワークを構築し、その後第N層仮想リンクの端点となるセンサーノードを決定するために再帰的に下位層のモジュール間仮想リンクを追加する。第(N-1)層VWSNでスモールワールドネットワークを構築する場合の接続確率および、第N層仮想リンクの端点となる第(N-1)層VWSNの選択確率を3通りずつ定義し、次数が高いモジュール同士が接続されやすい、次数が低いモジュール同士が接続されやすい、次数が高いモジュールと低いモジュールが接続されやすいモデルをそれぞれ定義した。評価結果から第N層仮想リンクの端点を選択する方法として次数が低いモジュール同士を接続するモデルは接続性においても通信性能においてもロバストであり、また適応性が高いことが分かった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脳ネットワークの構造的特徴を無線センサーネットワークの仮想化に応用することに取り組み、将来のIoT化を見据えた場合に重要となる環境変動を考慮した、高いロバスト性と適応性を有する仮想トポロジーを構築することに成功したため。
|
今後の研究の推進方策 |
モジュール間の接続関係についてマルチレイヤーネットワークの観点から、ロバスト性をはじめとした仮想ネットワークの特徴量について解析的な評価を行い、所望の性能を得るための接続方法について明らかにする。その後、その結果に基づき仮想ネットワークの進化アルゴリズムを提案する。
|