研究課題/領域番号 |
14J01662
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
髙倉 理 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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キーワード | インフレーション / 宇宙マイクロ波背景放射 / 重力波 |
研究実績の概要 |
インフレーション中に生成された原始重力波は宇宙マイクロ波背景放射(CMB)にBモード偏光と呼ばれる偏光ゆらぎパターンを作る。CMB偏光観測実験POLARBEAR実験は、本研究の目的である原始重力波起源Bモード偏光観測に向けた、広視野観測を開始した。 広視野観測では、全観測領域の走査にかかる時間が長くなり、観測中に冷凍機の温度や天気など、検出器の環境が変化してしまう。すると、環境変化の影響により生じる1/fノイズが大角度スケールのゆらぎに対する感度を悪化させてしまう。原始重力波起源Bモード偏光は大角度スケールのゆらぎとして見えるため、この1/fノイズをいかに落とすことが観測にとって重要な鍵である。 広視野観測で問題となる1/fノイズへの対策として、POLARBEAR望遠鏡に連続回転半波長板を導入した。連続回転半波長板は偏光シグナルに変調をかけることにより、一つの偏光検出器での偏光観測を可能とする。その結果、主要な1/fノイズ源である、検出器の特性差により混入する大気ゆらぎを除去することができる。 一方で、連続回転半波長板の導入により、望遠鏡の特性が変化してしまう恐れがある。CMBは温度ゆらぎ、Eモード偏光ゆらぎという、Bモード偏光ゆらぎよりもずっと大きい信号を含んでおり、望遠鏡の特性が非理想的だと、それらが偽のBモード偏光として見えてしまう。そのような系統誤差がどの程度かを評価するための解析も行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画通り、POLARBEAR望遠鏡で原始重力波起源Bモード偏光観測に向けた広視野観測を開始した。
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今後の研究の推進方策 |
連続回転半波長板を導入により1/fノイズは改善したが、完全に1/fノイズを落とせたわけではない。連続回転半波長板の情報を使える限り使って、1/fノイズを可能な限り除去する方法を考案する。 蓄積した観測データを解析してPOLARBEAR実験の広視野観測の結果を発表する。
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