研究実績の概要 |
平成26年度は、多能性幹細胞から骨芽細胞誘導法の確立を中心に行ってきた。骨芽細胞特異的に発現するI型コラーゲンプロモーター断片の下流にGFPを組み込んだマウスES細胞 (Col1a1-GFP mESCs)を用い、誘導法の最適化を行ってきた結果、中胚葉分化を特異的に誘導するために、Wnt作動性低分子化合物 (CHIR99021; CHIR)及び神経分化を抑制するためHh阻害性低分子化合物 (Cyclopamine; Cyc)を用いたところ、中胚葉遺伝子であるT等は誘導開始5日で上昇し、多能性遺伝子であるNanog、神経外胚葉遺伝子であるSox1は抑えられた。中胚葉誘導後、Hh作動性化合物 (SAG)及びヘリオキサンチン誘導体 (TH)を用いたところ、投与14日後に、骨芽細胞関連遺伝子であるRunx2, Sp7, Col1a1, Ibspの著しい遺伝子発現がRT-qPCRにて確認された(P<0.05, vs 誘導前)。これをヒト人工多能性幹細胞 (hiPSCs)に応用した場合、骨芽細胞関連遺伝子であるRUNX2, SP7, COL1A1が上昇した (P<0.05, vs 誘導前)。多能性幹細胞から骨芽細胞を誘導する報告を本年報告している(Stem Cell Reports. 2:751-60, Cell Press, 2014)。 これに引き続く形で、現在、hiPSCsから骨芽細胞誘導法の改善及び、マウスES細胞を用いた骨芽細胞三次元培養条件のの最適化を行っている。
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