本年度は、骨芽細胞分化の効率化及び三次元講組織作成の基盤作りに関して検討してきた。 前者において、①中胚葉誘導法の変更、誘導期間の最適化、②骨芽細胞誘導の最適化を行った。①に関して、Wnt作動性低分子化合物の誘導期間を0日、1日、3日、5日と設定し検討したところ、CHIRの誘導3日に中胚葉遺伝子の発現ピーク、多能性遺伝子の発現減少を認め、中胚葉誘導に最適な期間を3日とした。②に関して、骨芽細胞発生において重要なシグナルであることWnt、BMP、FGF、Hhを組み合わせた検証を行った結果、中胚葉誘導後に各種シグナルを作用させることで骨芽細胞遺伝子の発現上昇を認める結果が得られた。本内容の一部をISSCR/CiRA2016で共同演者として発表している。 後者において、まず立体的な形状を付与したまま誘導可能な、多能性幹細胞の三次元培養法を確立する必要がある。そのため、マウスES細胞の三次元維持培養法を検討した。具体的には、アテロコラーゲンスポンジ中にマウスES細胞を播種し、mESCsの未分化性を維持する培養方法が、アテロコラーゲンスポンジ中においても、多能性維持に働くかを検証した。結果、多能性遺伝子発現、タンパクの発現は、三次元においても同じレベルで維持されたことが分かった。2i培養法とアテロコラーゲンスポンジの組み合わせによる三次元培養法によって、多能性幹細胞 (ES細胞)の特性を変えず、基底状態で維持できるということが分かった。本研究内容の一部は、下記に示す第38回日本分子生物学会年会、第15回日本再生医療学会総会にて共同演者として発表した。さらに、この三次元維持培養法を用い、骨芽細胞分化誘導が可能か検証したところ、骨芽細胞関連遺伝子 タンパクの高発現、石灰化を認めた。その一部データを、す第38回日本分子生物学会年会、第15回日本再生医療学会総会にて共同演者として発表した。
|