研究課題/領域番号 |
14J01750
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
鈴木 裕行 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | 銀河形成 / 輻射輸送 / 輻射流体 / 数値計算 |
研究実績の概要 |
銀河形成シミュレーションの分解能の制限により、形成された星団粒子からのフィードバックの扱い方によって形成される銀河の形態や物理量が大きく異なるという諸問題がある(Scannapieco et al. 2012)。本研究は、銀河形成シミュレーションでは細かく分解できない星団形成領域周辺に着目をし、その領域で起きる物理過程、特に、紫外線輻射輸送と超新星爆発による爆風波の伝搬が共存するような状況を詳細に調べることで、後の銀河形成シミュレーションに応用できるフィードバックモデルの構築を目指す。 特に本年度は、上記した数値シミュレーションをするため、紫外線輻射輸送、ガスの自己重力収縮、流体力学過程、化学進化等の物理過程を取り入れた3次元輻射流体計算コードの準備を行った。計算コードのテスト計算には(Iliev et al. 2006, 2009)にて行われている標準的なテスト計算を行い、矛盾のない結果を見ることができた。 また、本研究で行うような輻射輸送計算では、光源は銀河形成シミュレーションにおける星団粒子を仮定するので、SSP(Simple Stellar Population)的なスペクトルとなることから、あるIMF(Initial Mass Function)と重元素量を仮定したSSPのスペクトルとその時間進化のデータを予め作っておく必要がある。その作成には、PEGASE(Fioc & Rocca-Volmerange 1997, 1999) を用いて計算を行い、各IMF、重元素量に対してのスペクトルの時間進化データを作成した。今後は、作成した輻射スペクトルのデータをコードに組み込み、本計算に進むつもりである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題の当初の計画よりやや遅れ気味なのは、計算コードの準備とテスト計算に時間がかかっていることにある。残るは、自分で作成した各々のSSPスペクトルのデータを計算コードに組み込み、テスト計算にて矛盾のない結果を出せたらコードの準備は終わる予定である。計算機資源の準備も整い、規模の多い計算も可能になったので、今後数ケ月以内に本計算に入れるように計算コードの準備に取り組んでいきたい。
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今後の研究の推進方策 |
今後、輻射流体シミュレーションの本計算に入り、様々なIMF、重元素のパターンにて計算を行い、星団粒子周辺の星間ガスにて起こる物理現象を解析する。 その後は、得られた結果を、銀河形成シミュレーションに応用するためにフィードバックモデルの構築に取り掛かると同時に、宇宙論的銀河形成シミュレーションができるような計算コード、初期条件の作成にとりかかる。新たなフォードバックモデルを用いることで、銀河形成における諸問題、特に" 銀河形態"に焦点をあて、形態分化の起源や、バルジ形成、Morphology-Density Relation(Dressler. 1980)などを司る物理プロセスの解明、理論モデルの構築に取り組む。
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