研究課題
本研究は、高圧下での金属融体の密度測定において、ダイヤモンドアンビルセル(DAC)を用いた新たな測定手法を確立することにより、主に鉄融体から成る地球外核組成の推定に欠かせない数十GPaまでの高圧領域における金属融体密度測定を行うことを目的としている。当該年度は、昨年度より引き続き高エネルギー加速器研究機構のビームラインAR-NE1AにおいてDACを用いたX線イメージング吸収法による密度測定の最適化および金属融体に対する密度測定を行った。実験は、11 GPa、780 Kまでの圧力温度条件で行った。In融体の密度は、本実験条件の範囲内で7.16~7.91 g/cm3と得られた。密度誤差は0.9~2.0%程度であり、これまでより精度が向上したことが確認できた。この測定誤差は主に入射X線強度分布に由来する。In融体の密度の圧力変化を先行研究と比較すると、Shen et al. (2002)で報告されている結果と比べて緩やかであることがわかった。一方で、密度の絶対値は、Komabayashi et al.(2015)の状態方程式から計算される密度値と約1%の範囲内で一致した。本研究では当初目標としていた50 GPaまでの高圧条件での測定には至らなかったものの、新たな測定手法を提示することにより、密度測定が可能な圧力領域の幅を大きく広げることができる可能性を示した。このことは融体密度測定において重要な意義を持ち、惑星科学の分野のみならず高圧実験の応用の幅を広げる意味で高圧物質科学分野の進歩にも大きく貢献することになると言える。今後、さらなる高温高圧環境下において鉄合金試料の密度測定も行えるよう、レーザー加熱技術も導入し、本手法を発展させる予定である。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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