研究課題/領域番号 |
14J01881
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
伊藤 敦 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | フロベニウスーセシャドリ定数 / フロベニウス写像 |
研究実績の概要 |
・当該年度はフロベニウスーセシャドリ定数を研究するために,まず正標数の代数幾何,特にフロベニウス写像について勉強した.それらを踏まえて,代数多様体の間に射もしくは有理写像がある場合のフロベニウスーセシャドリ定数の関係を考察した.具体的には,その射がいくつかの条件を満たせばフロベニウスーセシャドリ定数の不等式が得られることがわかった.これを用いることでフロベニウスーセシャドリ定数の評価を低次元の場合に帰着できないかと期待している.
・古川勝久氏との共同研究で,正標数におけるガウス写像について研究を行った.ガウス写像は標数が0の場合と正の場合とでは振る舞いが非常に異なることが知られている.その違いをガウス写像の像,ファイバー,及びガウス写像によって定まる関数体の間の拡大の視点からフロベニウス写像を用いて研究した.具体的には,ガウス写像のグラフとしてあらわれる代数多様体の特徴付けを与えることでどのような有理写像がガウス写像としてあらわれるかを考察した.既存のいくつかの結果の一般化として(1)一般的に全単射という条件を満たす有理写像の違いを除けば,任意の有理写像がガウス写像としてあらわれる,(2)標数が3以上の場合は任意の(標数が2の場合は「少なくとも半分」の)非分離な体の拡大が,ガウス写像から定まる関数体の拡大としてあらわれる,ということが証明できた.これらの結果は論文にまとめ,現在出版に向けて論文誌に投稿中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フロベニウスーセシャドリ定数の評価に関して,特定の条件下ではあるが不等式が得られたため.また,フロベニウス写像を用いてガウス写像に関する正標数特有の現象を調べることができたため.
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今後の研究の推進方策 |
当該年度は代数多様体の間の射や有理写像を用いてフロベニウスーセシャドリ定数を考察したが,特にエタール射や非分離の場合を詳しく調べることでより良い評価が得られるのではないかと考えている.それらの評価を用いて帰納的に低次元の場合に帰着させたい.
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