研究課題/領域番号 |
14J01883
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
北原 奈緒 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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キーワード | virulence mechanism / virulence factors |
研究実績の概要 |
C. albicansとマクロファージの2種生物の同時プロテオーム解析を行い、C. albicansとマクロファージの異種間相互作用プロテオーム解析の検討を行った。マクロファージ脱出機構に関するC. albicans病原タンパク質の候補を抽出することが目標である。 <C. albicansとマクロファージの2種生物の同時プロテオーム解析>(ア)2種生物の同時プロテオーム解析における偽陽性率の算出:C. albicansのタンパク質がマクロファージタンパク質として同定されてしまう、もしくはその逆の場合が存在する。偽陽性率を測定したところ5%以下という非常に低い値となり、この解析系の妥当性を確認できた。(イ)C. albicansタンパク質からの病原性機構の推定:C. albicansはグリオキシル酸回路を働かせてエネルギーを得ていることが分かった。また。アンモニアを外に放出することでマクロファージ体内の酸性化状態に対抗していることを推定した。これらや多くの機能未知タンパク質を利用してC. albicansはマクロファージ内の過酷な状況に対抗していると推定される。病原性を確認するため、C. albicansの遺伝子破壊法について、CRISPR法を用いて実験条件を検討している。(ウ)マクロファージタンパク質からの病原性機構の推定:マクロファージタンパク質は他タンパク質と比較してはるかに減少が大きいタンパク質が5つ同定された。そのなかにはアポトーシスに関連するもの、ヒートショックタンパク質が含まれていた。C. albicansがそれらタンパク質を分解してマクロファージから脱出しているのではないかと推定した。本年度は、マクロファージのタンパク質の増減をWestern blottingによって観察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的はC. albicansのマクロファージ脱出機構の解明である。現在プロテオーム解析によりその機構の推定が完了した。さらにより良い解析系を目指して、プロテオーム構築を工夫している。また、推定した機構の証明を試みているところであり、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
C. albicansのマクロファージ脱出機構の解明について、推定した機構を証明する。C. albicansがマクロファージのタンパク質(ヒートショックタンパク質、アポトーシス関連タンパク質)を分解して脱出しているとの仮説を証明する。マクロファージのそれらのタンパク質を生産減少、増加させ、両者の相互作用の変化を観察する。また、C. albicansのどのタンパク質がマクロファージタンパク質の減少を引き起こしているのかを明らかにする。また、マクロファージとの相互作用で多く生産されていたC. albicansの機能未知タンパク質について、どういった働きをしているのか解明する。
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