研究課題/領域番号 |
14J01905
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研究機関 | 統計数理研究所 |
研究代表者 |
植松 良公 統計数理研究所, 数理・推論系, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | 高次元時系列 / カーネル法 / スパースモデル / 予測 |
研究実績の概要 |
平成26年度の前半は,主に前年度から取り組んできた研究の続きを行った.夏までに高次元時系列モデルのスパース推定の論文を,真のモデルの次元が発散するような一般的なモデルにまで拡張し,その結果を9月のRSS conferenceで報告した後,専門誌に投稿した.また11月には,時系列モデルの最小二乗推定量の漸近有効性に関する論文を,証明を修正しつつより広いモデルにまで拡張したうえで,専門誌に投稿した.さらに2月には,非定常過程を説明変数に持つ非線形モデルの分位点回帰に関する論文を改訂し,専門誌に投稿した.それらに加え12月からは,小樽商科大の田中晋矢氏との共同研究で,観測頻度の異なるマクロ経済変数を,いわゆるMIDAS回帰を利用したスパース高次元時系列モデル化し予測するという実証研究も行っている.それに付随し,独立同一分布の仮定の下でFan and Lv (2013) により導出された予測誤差の最適な収束レートに関する理論の高次元時系列モデルへの拡張に取り組む一方,高次元時系列モデルにおけるクロスバリデーションによる正則化項の選択に関して,シミュレーションでその有用性を示す論文も同時に執筆している.その一方,カーネル法などの新たな手法の学習にも取り組み,主に計量経済学における次元削減と予測に有効な手法を模索した.特に1月からは,ガウス過程を用いた隠れ変数モデル(GP-LVM)やカーネル主成分分析を用いた予測手法を考察している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初カーネル法をはじめとする機械学習分野の手法に関しては全く知識がなかったが,そうした手法のある程度の全体像と計量経済学(特にマクロ経済・金融時系列データの予測)への応用可能性が見えてきた.特に数ある手法の中でもカーネル主成分分析とGP-LVMを用いた予測モデリングの構築に注目し,その理論と方法論を学習した.26年度末の時点で,実際のデータを用いて実証する準備をしている.これらを踏まえると,計画はおおむね順調に進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
今後はまずカーネル主成分分析とGP-LVMを用いたマクロ経済データ予測の実証分析に取り組んでいく.特に,McCracken and Ng (2014) で用いられた大規模マクロ経済データを整備し,同様の予測に関する先行研究を踏まえながら,有力な手法と比較して優れたパフォーマンスが出せるか検証する.良好な実証結果が得られれば,理論面について時系列データに適応できるように,従来のモデルを拡張する.
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