研究課題/領域番号 |
14J01964
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
陳 奕廷 神戸大学, 人文学研究科, 特別研究員(DC2)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2016-03-31
|
キーワード | 複合動詞 / コンストラクション / フレーム意味論 / 認知言語学 / 日本語 / 中国語 |
研究実績の概要 |
「複合動詞用例データベース」を参考に、主に複合動詞とその構成動詞の格情報に基づき、意味の抽象化が起こっている例を抽出し、用例数と相関があるかどうかをパソコンの統計ソフトを用いて調べた。そして、なぜこのような抽象化の傾向が生じたのかを考察し、Bybee(2010、 2013)のアプローチに従って用法基盤モデルの観点から説明し、その成果をオーストラリアのシドニーで行われた『2014年日本語教育国際研究大会(SYDNEY-ICJLE2014)』にて口頭発表した。 また、本研究が用いるフレーム意味論とコンストラクション形態論に基づく複合動詞のケーススタディをいくつかのテーマに分けて分析を進め、ドイツのオスナブリュックで行われる構文文法の国際学会The 8th International Conference on Construction Grammar (ICCG8)及びThe 7th Conference on Language、 Discourse、 and Cognition (CLDC 2014)、日本認知言語学会の第15回全国大会で発表を行った。 このように、本研究は共にスキーマ的な思考方式であるコンストラクションとフレームを取り入れ、さらに両者を組み合わせることで、複合動詞の全体的な形成プロセスとメカニズムを明らかにした。 従来の還元主義的な考えでは、構成体の全体の意味はその構成要素の意味の総合に還元でき、構成要素から全体の意味が予測できると主張されていた。しかし、それではなぜ複合動詞が特定の型において、ある特定の意味が生じるのかということを説明できない。そのため、本研究は形式自体に意味があるというコンストラクションの概念を導入することによって複合動詞における合成的な一面と非合成的な一面を同時に捉えられることを示した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ当初設定した目標通りに研究が進んでいるため。
|
今後の研究の推進方策 |
研究計画調書の通りに研究を進めていく。特に有力な学術誌への掲載を目指す。
|