研究課題/領域番号 |
14J02029
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
青山 一真 大阪大学, 情報科学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | 経皮電気刺激 / 前庭電気刺激 / 感覚提示 |
研究実績の概要 |
本年度は,頭部内電流経路を考慮した刺激設計による前庭電気刺激の多自由度化と強化を行った研究,さらに頭部への電気刺激による感覚提示の副次的な成果として得られた,舌への電気刺激による味覚操作手法についての研究の成果発表を行った.また,頭部内電流経路の同定実験についても引き続き実験と解析を進め,平行して眼球への電気刺激による視覚提示に関する研究を行った. 本年度の前庭電気刺激の研究成果としては,頭部の抵抗値計測による頭部内電流経路の実証と4極前庭電気刺激による前後,左右,yaw回転方向の前庭感覚提示手法に関する研究成果を発表し,さらに上下方向への前庭感覚提示手法に関する研究成果,前庭電気刺激の時間パターンに対する身体動揺の大きさのモデル化に関する研究成果のそれぞれを論文として発表した. これらに加えて,頭部への電気刺激と電流経路の研究の副産物として発見した,味覚の電気刺激による塩味と旨味の抑制手法に関する研究の成果も論文として発表した. MEGとMRIを用いた頭部内電流経路の可視化については,fMRIを利用してMEGによる電流印加中の磁場計測実験を行った被験者1名の脳機能画像を撮像した.これらの脳機能画像とMEGによる脳磁場データとfMRIの脳機能画像を合わせた解析を現在進めている. さらに,頭部の電流経路として非常に重要な役割を担っていると考えられる眼窩周辺への電気刺激に関して,電流印加の際に眼内閃光と呼ばれる白色のフラッシュを知覚する事が知られている.この被験者の感じる主観的なフラッシュの有無や位置と電極位置の関係から眼窩が電流経路の形成に強く寄与している事が示せるのではないかと考え,視覚への電気刺激に関する研究も並行して行っている.この視覚への電気刺激は電流経路の実証だけでなく,光源を使わないディスプレイとしての利用も期待できる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度までの研究において,当初の最大の達成目的であった前庭電気刺激の多自由度化に成功し,その成果の発表までを行う事が出来た.さらに,電流経路の同定実験に関しても,頭部の抵抗値計測実験やMEGを用いた電流印加中の磁場計測実験なども電流経路の存在を支持する結果となっている. これに加えて,この電流経路仮説に基づく経皮電気刺激の研究の副産物として現象を発見し,研究に取り組んでいる味覚への電気刺激においても論文という形で成果の発表ができている.さらに今年度からは視覚への電気刺激を用いることで眼窩が電流経路の構成要素となっている事を実証することができると考え,研究を開始した.この研究においても,既に国際会議での発表を行うなど順調に成果を挙げている. よって,本年度は当初の予定とは異なるが,当初の計画よりも研究が進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究方針としては,MEGで計測した磁場データから推定される電流経路とfMRIで計測した頭部の構造画像とのマッチングを行い,電流経路より詳細な可視化を行う予定である.また,同時に前庭感覚,味覚,視覚を中心とする電気刺激に関して,電流経路の考え方からの刺激設計を行い,被験者が知覚する感覚を心理物理実験によって計測する実験を行う.この実験により,電流経路の考え方の妥当性と有用性を示す事が出来ると考えらえる.
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