研究課題/領域番号 |
14J02096
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
花田 研太 神戸大学, 海事科学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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キーワード | バンドル法 / 半ラグランジュ緩和法 / 分散ラグランジュ緩和プロトコル / Multi-MaxSAT / 非厳密解法 |
研究実績の概要 |
本年度は, 1) 極めて大規模な重み付き部分Max-SAT問題を分散環境で解くための基盤となる分散ラグランジュ緩和プロトコルの改良, 2) 集中環境で同様の問題を解くための新しいアルゴリズムの開発 を行った.
1) 既存の分散ラグランジュ緩和プロトコルは,ラグランジュ乗数を更新するアルゴリズムとして劣勾配法を使用していた.本研究では,分散ラグランジュ緩和プロトコルにバンドル法が適用可能であることを示し,劣勾配法と比較してより高速に,かつより良い質の下界値を得られることを明らかにした.この研究成果を国際ワークショップであるAAAI-15 Workshop on Planning, Search, and Optimization (PlanSOpt-15) で発表した.
2) 本研究では,Multi-MaxSATという既存のソルバーに着目した.このソルバーは,原問題を部分問題に分解し,各部分問題の最適値および最適解を厳密解法によって繰り返し求めることによって,原問題の最適値および最適解を探索する.新しいアルゴリズムでは,部分問題の求解に厳密解法ではなく非厳密解法を使用した.また,半ラグランジュ緩和という手法を用いて問題を再定式化した.実験の結果,新しいアルゴリズムは既存のアルゴリズムに比べて大幅に計算コストを低減させることができ,かつ極めて最適値に近い値を導出できることが明らかとなった.このアルゴリズムは,次年度において開発予定である集中厳密解法の礎となる重要な成果である.この成果をWorkshop for Computational Techniques for Sustainability and Resilienceで発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は,極めて大規模な重み付き部分Max-SAT問題の問題例を扱えるようにするため,新しいソルバーを開発することによって求解性能を向上させることである.開発するソルバーは,集中/並列/分散環境における非厳密解法および集中/並列環境における厳密解法である. まず,分散環境における非厳密解法の基盤となる分散ラグランジュ緩和プロトコルにおいて,バンドル法を実装することで,大幅な性能の向上を達成した.これにより,極めて大規模な問題例を分散環境で扱えるようになった. 次に,集中環境において,極めて最適値に近い値を導出できる新しいアルゴリズムを開発した.このアルゴリズムは容易に並列化が可能であり,集中/並列環境における非厳密解法と言える.また,このアルゴリズムは原問題を部分問題に分割する方法を採用しているため,極めて大規模な問題例も容易に扱うことができる. 本年度は,予定の半数以上にあたる集中/並列/分散環境における非厳密解法を開発できた.従って,本研究課題は当初の予定通りに進展していると考える.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,集中/並列環境における厳密解法の開発を行う.新しく開発した集中/並列環境における非厳密解法をアルゴリズムの内部に用いることによって,大幅な計算コストの低減を図る. 昨年度の研究成果が学術論文誌としての成果発表まで至っていないため,本年度の研究成果と共に学術論文誌として成果発表を行っていく予定である.
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