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2015 年度 実績報告書

肝発癌機構の解明を目指したエピゲノム異常蓄積とその生成機序の探索

研究課題

研究課題/領域番号 14J02212
研究機関京都大学

研究代表者

松本 知訓  京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2014-04-25 – 2017-03-31
キーワードDNA脱メチル化 / 肝発癌 / AID
研究実績の概要

DNA脱メチル化の異常と肝発癌の関連を明らかにすることを目的として、DNA脱メチル化に関わる遺伝子としてTET1・TET2・AIDに着目し、マウスを用いてその腫瘍発生への関わりを明らかとする研究を行っている。
シトシン脱アミノ化酵素であるAIDの過剰発現に伴う遺伝子異常・DNAメチル化異常を解析するため、AIDトランスジェニックマウスに低濃度チオアセトアミド投与による薬剤性の慢性肝炎を惹起させることにより、AIDの異常による肝発癌マウスモデルを作成した。このマウスを用いてまず遺伝子変異の蓄積状況を、次世代シーケンサーを用いて網羅的に解析したところ、AIDによる遺伝子変異の蓄積を確認した。特に、AIDが変異を導入している標的遺伝子の特徴について解析したところ、特に炎症に伴って転写が上昇した遺伝子への変異生成が促進していた。以上より、炎症による遺伝子の発現亢進がAIDによる変異導入の危険性を増加させ、その結果生じたゲノム異常の生成亢進が肝発癌に促進的に作用するという分子機構の存在が示唆された。以上の結果について論文をまとめ、国際雑誌へ掲載することができた(Carcinogenesis. 36(8), pp. 904-913, 2015.)。
さらにDNAメチル化状態の検討について、MBD-seqにより網羅的に解析したところ、AIDトランスジェニックマウスと野生型マウスの間で、DNAメチル化状態に差があると思われる遺伝子群を検出した。現在は、これらの遺伝子群のうちいくつかの遺伝子に着目し、AID・肝炎の有無により実際にDNAメチル化状態に変化が生じているのか、バイサルファイトシークエンスを行うことで検討しているところである。
また、TET1・TET2と肝発癌の関連についても現在、肝特異的にこれらの発現を欠損するマウスを作成し、肝発癌を来すかどうか検討しているところである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

AIDと肝発癌の関わりについて、順調にデータを蓄積することができている。
TET1・TET2についても、マウスの交配が比較的順調に進んでいる。

今後の研究の推進方策

MBD-seqで認められたAIDによるDNAメチル化異常に着目し、それらが本当にAIDによる異常なのかどうかを検討を進めるとともに、このメチル化異常と肝発癌の関わりも明らかとする。
TET欠損と肝発癌の関わりについては、経過観察を終えたマウスの表現型の解析を順次行っていく予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] Hepatic inflammation facilitates transcription-associated mutagenesis via AID activity and enhances liver tumorigenesis2015

    • 著者名/発表者名
      Matsumoto T, Shimizu T, Nishijima N, Ikeda A, Eso Y, Matsumoto Y, Chiba T, Marusawa H
    • 雑誌名

      Carcinogenesis

      巻: 36 ページ: 904-913

    • DOI

      10.1093/carcin/bgv065.

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Exploring the Mechanisms of Gastrointestinal Cancer Development Using Deep Sequencing Analysis2015

    • 著者名/発表者名
      Matsumoto T, Shimizu T, Takai A, Marusawa H
    • 雑誌名

      Cancers (Basel)

      巻: 7 ページ: 1037-1051

    • DOI

      10.3390/cancers7020823.

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Expression of activation-induced cytidine deaminase in hepatocytes under immune response against HBV2016

    • 著者名/発表者名
      Tomonori Matsumoto, Atsushi Takai, Tadashi Inuzuka, Hiroyuki Marusawa
    • 学会等名
      25th conference of the Asia Pacific Association for the Study of Liver
    • 発表場所
      Tokyo
    • 年月日
      2016-02-23 – 2016-02-23
    • 国際学会
  • [学会発表] Inflammation contributes to hepatocarcinogenesis through an acceleration of transcription-coupled mutagenesis2015

    • 著者名/発表者名
      Tomonori Matsumoto, Norihiro Nishijima, Tsutomu Chiba, Hiroyuki Marusawa
    • 学会等名
      The Liver Meeting 2015
    • 発表場所
      San Francisco
    • 年月日
      2015-11-17 – 2015-11-17
    • 国際学会

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公開日: 2016-12-27  

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