研究課題
これまでにインドネシア産薬用植物であるHelminthostachys zeylanica根50%エタノール抽出物にマウスB16メラノーマ細胞のメラニン生産を阻害および促進する活性成分を単離し,ugonin類と新規quercetin配糖体を各種機器分析により同定した。メラニン生産を阻害したugonin J, Kは構造活性相関の調査によりB環カテコール骨格が活性に必須であり,A環の低極性置換基が活性を強化していることを明らかとしてきた。本年度でugonin類似体であるluteolin誘導体を用いてメラノーマ細胞中のメラニン合成酵素であるチロシナーゼの発現に与える影響を調査したところ,本化合物がチロシナーゼ発現を阻害していることが示唆された。一方メラニン生成促進活性を示したquercetin配糖体の構造活性相関の調査のためにrutinを出発物質として19種のquercetin誘導体の合成を成功させた。最も高い活性を示したmethylqueretinはメラニン生産を細胞中で促進し,細胞からメラニンの輸送を促進する機構を分子レベルで解明した。本年度は,さらにヒトメラノサイトを用いた試験を行った。白人由来のメラノサイトでは本化合物がメラニン生成促進活性を示さず細胞伸長促進活性を示した。このため本化合物が白人メラノサイトにおいてメラニン生成に影響せず直接細胞伸長を促進していることを示唆した。一方アジア人由来のメラノサイトを用いた3D皮膚モデルにより本化合物はメラノサイトの増殖,伸長,メラニン生成の促進活性を示し,異なる人種由来のメラノサイトで活性が異なることが示された。あらゆる人種のヒトメラノサイトにおいてmethylquercetinが活性を示すと期待したが,人種間で活性が異なるという興味深い結果が得られた。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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