• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2016 年度 実績報告書

科学主義の時代におけるオストヴァルトの「エネルゲーティク」に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 14J02372
研究機関東京大学
特別研究員 稲葉 肇  東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(PD)
研究期間 (年度) 2014-04-25 – 2017-03-31
キーワード科学史 / 思想史 / エネルゲーティク / オストヴァルト / ドイツ
研究実績の概要

本年度は,ヴィルヘルム・オストヴァルト(Wilhelm Ostwald, 1853-1932)のエネルギー論に対するさまざまな反応を検討し,主として三つの成果を挙げた.ひとつは,統計力学・気体運動論と化学との関係についての論考である.この論考では,統計的方法による物理化学の試みの系譜を取り出して記述したが,その過程においては,オストヴァルトら,熱力学的手法を推奨する立場からの批判を考慮することが必要であった.統計力学を推進する物理学者たちは,つねに,そうした化学者の側からの批判に答える必要があったのである.二つ目の成果は,統計力学の歴史に関するものである.とくに,ギブス(Josiah Willard Gibbs, 1839-1903)のアンサンブル理論がどのように受容され,また批判され,そして適用されたかについて,オーストリア・ペラウで開催された第2回物理学史国際会議で報告を行った.いまひとつの成果は,20世紀初頭におけるさまざまな形態のエネルギー論を,オストヴァルトのそれと比較する形で提示する準備が整ったことである.まず,エドゥアルト・フォン・ハルトマン(Eduard von Hartmann, 1842-1906)の著書に現れるエネルギー論的世界観を検討した.この中でハルトマンはたしかにエネルギーが物理学の根本的概念であると認めているものの,オストヴァルトのエネルギー論は方法論的にも存在論的にも維持できないと論じている.さらに,ヴィーンの高等農業学校の幾何学・測地学教授だったヨーゼフ・シュレージンガー(Josef Schlesinger, 1831-1901)の「エネルギー主義」とその来歴を検討し,それが催眠術やテレパシーなどの超心理学的な現象を説明するために案出されたことや,反唯物論的な傾向を持っていることなどを明らかにした.

現在までの達成度 (段落)

28年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

28年度が最終年度であるため、記入しない。

研究成果

(5件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 1870年代から1920年代における化学と気体運動論・統計力学2016

    • 著者名/発表者名
      稲葉肇
    • 雑誌名

      化学史研究

      巻: 43 ページ: 62-71

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Schlesinger’s energeticism: From hypnosis to an energetic worldview2017

    • 著者名/発表者名
      Hajime Inaba
    • 学会等名
      International Workshop on the History of Energetics
    • 発表場所
      The University of Tokyo (東京都目黒区)
    • 年月日
      2017-03-18
    • 国際学会
  • [学会発表] The Reception of Ensemble Theory, 1902-19112016

    • 著者名/発表者名
      Hajime Inaba
    • 学会等名
      2nd International Conference on the History of Physics
    • 発表場所
      European Center of the History of Physics (ペラウ(オーストリア))
    • 年月日
      2016-09-05
    • 国際学会
  • [学会発表] オストヴァルトのエネルギー論について:ハルトマンの批判を軸に2016

    • 著者名/発表者名
      稲葉肇
    • 学会等名
      第63回日本科学史学会年会
    • 発表場所
      工学院大学(東京都新宿区)
    • 年月日
      2016-05-28
  • [備考] エネルギー論の歴史に関する国際ワークショップ

    • URL

      https://sites.google.com/view/ws-energetics-2017/startseite

URL: 

公開日: 2018-01-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi