研究実績の概要 |
酸素発生モジュール開発の研究成果 水の酸化を可能にするための強い酸化力を獲得すべく強い電子吸引基を導入した、トリスパーフルオロカテコラートCr(III)トリアニオン錯体(錯体1)のゲスト金属イオンとの相互作用について検討し、リチウムイオン及び二価金属イオン (マンガン、鉄、コバルト、亜鉛) と1:1で相互作用すること及びそれらの平衡定数を明らかとした。これはトリスカテコラート錯体配位子及びゲスト金属イオンの溶液中における相互作用を系統的に明らかにした初めての例である。また電気化学測定により、錯体1は0.28, 0.57, 0.99 V vs. SHEに一電子移動に帰属される酸化還元対を示し、目標とする水の酸化に最低限必要な0.82 V (pH = 7) より強い酸化力を有するこが分かった。このことから錯体1を錯体配位子として活用する水の酸化が可能と期待される。今後は、錯体1及びゲスト金属イオンを用いた水の電気化学的酸化反応について検討する。
水素発生モジュール開発の研究成果 光化学的な基質からの水素発生を行うべく、2-アミノフェノール、2-アミノフェノラート及びビス2-アミノフェノラートFe(II)錯体のメタノール中における光化学反応について検討した。ππ*吸収帯を選択的に励起する289 nmの光照射を行ったところ、それぞれ5 hで5.2 (φ = 0.14), 3.9 (φ = 0.10) 及び2.5 mol / mol (ap) (φ = 0.06) の水素が発生すると共に、酸化生成物としてHCHOが水素の当量生成しているこが明らかとなった。これは均一系3d金属錯体において光化学的にメタノール脱水素反応を触媒する初めての例である。今後は基質として水分子をターゲットとした光化学的な水素発生反応について検討する
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