研究課題/領域番号 |
14J02525
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
島田 英明 東京大学, 法学政治学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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キーワード | 頼山陽 / 政治思想 / 漢学 / 史論 / 志士 |
研究実績の概要 |
本研究は、徳川後期における「漢学」の変容とその政治思想的意味を明らかにするものである。今年度の研究成果としては、(1)以前より取り組んできた頼山陽研究の推敲・整理・公表、(2)頼山陽以前の「漢学」の展開の検討、(3)頼山陽以後の「漢学」の展開の検討、の三点に要約できる。 まず(1)では、徳川後期を代表する儒者にして史論家・頼山陽のテクストの分析を通して、徳川後期における史論の流行の背景・特質・意義につき、包括的な検討を施した。結果、18世紀における漢学の変容と史論の隆盛との関係や、「英雄豪傑」「文士」といったアイデンティティと彼らの政治思想との関連につき、新たな確説を得ることができた。更にその成果を、政治思想学会2014年度大会(於関西大学)にて報告し、「経世の夢、文士の遊戯――頼山陽における政治思想と史学」と題して『国家学会雑誌』第127巻7・8月号上に論文を公表することができた。 次に(2)では、日本の近世を通して巨大な「学派」の水脈を誇った山崎闇斎学派の分析を行った。とりわけ徳川前期の大儒・山崎闇斎ならびに浅見絅斎の学説と、幕末期におけるその影響の諸相に焦点を当て研究を進めた。また、その成果の一部を、山崎闇斎研究の最新の達成といえる澤井啓一『山崎闇斎』(ミネルヴァ書房、2014)への書評という形で『国家学会雑誌』第127巻9・10月号上に公表した。 最後に(3)として、幕末の江戸に集った漢学書生や志士たちを検討の俎上に載せた。具体的には、江木鰐水『江木鰐水日記』や岡鹿門『在臆話記』を通して漢学書生の、吉田松陰らの諸文稿を通して志士檄派の、交流・心事・思想を分析した。この作業は来年度も、より包括的な形で継続される予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究の小括を行うのみならず、闇斎学や幕末政治思想についての研究を進め、今後の研究についてより確かな展望を得ることができた。また、学会報告、論文掲載、書評の発表と順調に成果を公表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、これまでの研究成果を踏まえた上で、徳川末期=幕末期の政治思想の検討に取り組む計画である。具体的には、「文士」の幕末における姿をよく体現するものとして森田節斎や成島柳北を、「志士」のそれとして吉田松陰や松本士権を、「書生」や「学者」としては岡鹿門や重野成斎、塩谷宕陰らを検討する予定である。 また、平成27年度末には、これらの成果をまとめた博士論文を書き下ろし、提出する予定である。
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