研究課題/領域番号 |
14J02554
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
木田 晶子 名古屋大学, 生命農学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | 1細胞解析 / スクリーニング / 抗体 |
研究実績の概要 |
抗体医薬生産において有用な生産源として用いられているCHO細胞などの培養細胞の品質管理は極めて重要であり,均一で高い分泌能を安定的に維持する細胞群の獲得が必要とされている。現在では細胞の分泌能力の経時的な変動(確率論的変動;stochastic fluctuation)は抗体生産効率を低下させる大きな要因であるため,このメカニズムを解明する必要がある。そのため本研究では,抗体分泌細胞の1細胞レベルでの変動解析を行い,1細胞からの細胞育種法の確立を目的とし,研究を遂行した。 本年度においては,抗体分泌量依存的な標識方法「細胞表層FIA法(CS-FIA)」と全自動1細胞解析単離装置を用いてヒト化抗体を高分泌するCHO細胞の1細胞単離を試みた。 まず,捕捉分子作製のためにCHO細胞の細胞表層提示に最も適した脂質を選定した。また,捕捉分子と検出分子の選定のために目的タンパク質に対する各分子の結合性評価およびCS-FIAの検出感度の評価を行い,CHO細胞におけるCS-FIAの最適化を行った。その後,最適化したCS-FIAと全自動1細胞単離解析装置を用いて,抗体高分泌CHO細胞の検出および1細胞単離を行った。単離した候補細胞を培養し,抗体分泌能の評価を行ったところ,単離後約1週間後における培養初期では,半数以上のクローンにおいて親株よりも高い抗体分泌能を示した。この結果から,CS-FIAを用いて抗体高分泌CHO細胞が既存の方法よりも迅速に高効率で単離可能となり,今後の1細胞解析および1細胞育種に大きく貢献すると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現時点では,細胞標識法であるCS-FIAと全自動1細胞解析単離装置を用いた抗体分泌細胞の単離方法が確立され,効率的に候補細胞を獲得することが可能となった。 顕著な抗体高分泌能を安定的に保持する細胞の獲得には,より多くの候補細胞からスクリーニングする必要があると考えている。したがって1細胞単離の継続は必須であるが,標識法や装置の改善によって,今後も1細胞単離の更なる高効率化が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に引き続き,安定高分泌CHO細胞の獲得のためCHO細胞の1細胞単離を行う。さらにCHO細胞のタンパク質分泌能に関与する遺伝子を同定するために,1細胞単離によって得られたCHO細胞を遺伝子解析に用いる。遺伝子解析に関しては,マイクロアレイ法による網羅的解析もしくは文献情報をもとに選定したタンパク質分泌に関与する候補遺伝子の定量的PCRによる解析を行う。 また,本研究で用いているCHO細胞株に加え,他のCHO細胞株においても候補細胞の単離を行い,遺伝子解析を行う予定である。
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