研究課題/領域番号 |
14J02590
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
村上 遼 北海道大学, 総合化学院, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | C-H官能基化 / 複素環化合物 / ホウ素化反応 / 炭素-炭素結合形成 / 不斉合成 |
研究実績の概要 |
本年度は、前年度に引き続き固相担持触媒を用いたC(sp3)-H結合のホウ素化反応の基質展開とパラジウム触媒による2-アルキルアザアレーン類の側鎖C(α)位のアリル化反応を不斉反応への展開を目的とし、以下に詳細を示す。
1. Silica-SMAP固定化イリジウム触媒による1,3-アゾール類のアルキル側鎖の位置および立体選択的C(sp3)-Hホウ素化反応の開発 本年度において、ベンゾイミダゾールを始めとするアゾール類に対しSilica-SMAP-Ir触媒存在下ビスピナコラートジボロンを作用させると、窒素原子からγ位のC(sp3)-H結合で、優れた位置選択性を伴ってホウ素化反応が進行することを見出した。さらに、環状アルキル基においては、位置および立体選択的にホウ素化反応が進行する。本反応は、他の一般的な均一系配位子では全く反応が進行しないことからも配位子効果が顕著である。得られるアルキルホウ素化合物は、鈴木宮浦クロスカップリング反応やアルコールへの酸化反応および銅触媒によるアミノ化反応など様々な分子変換が可能である。 2. パラジウム触媒による2-アルキルアザアレーン類の側鎖C(α)位のアリル化反応 前年度までの研究において、2-アルキルアザアレーン類の側鎖C(α)位のアリル化反応は高い位置選択性と官能基許容性に優れている一方で、エナンチオ選択性に課題があった。本年度では、高いエナンチオ選択性を発現できる新規配位子を設計し、それを用いる事でアリル化反応が高いエナンチオ選択性で進行する事を見出した。実際にキラルな新規ビスホスフィン配位子から調製したPd触媒を用いる事で穏和な条件下で反応が進行し、高い位置選択性および高いエナンチオ選択性で反応が進行した。本反応は優れた官能基許容性を有し、光学活性なアルキルアザーアレーン類を合成できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シリカ固相担持モノホスフィンSilica-SMAP配位子から調製した固定化イリジウム触媒によるC(sp3)-H結合の直接ホウ素化反応は、1,3-アゾール類への基質展開を可能にし、シクロプロパンやシクロブタンなどの小員環基質以外の環状アルキル基でも立体選択的にホウ素化反応が進行する。しかし、不斉反応への展開には至っていない。
パラジウム触媒による2-アルキルピリジン類の側鎖C(α)位のアリル化反応においては、新規配位子を設計し、それを用いる事で高いエナンチオ選択性で反応が進行することが分かり今後の応用に期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、開発した触媒反応の応用と生体関連分子化合物誘導体の合成を試みる。
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