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2014 年度 実績報告書

自然免疫とアレルギーに関与するタンパク質群の機能・構造解析

研究課題

研究課題/領域番号 14J02660
研究機関京都大学

研究代表者

堤 尚孝  京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2014-04-25 – 2016-03-31
キーワード構造生物化学 / X線結晶構造解析 / インターロイキン / 自然免疫
研究実績の概要

本年度は、interleukin (IL)-1ファミリーに属する炎症性サイトカインであるIL-18と、その受容体との複合体構造を解明し、成果として報告した。
概要としては、IL-18単体、IL-18/IL-18Rαの2者複合体、及びIL-18/IL-18Rα/IL-18Rβの3者複合体について、X線結晶解析法を用いて構造決定を行った。得られた3者複合体構造は、IL-1ファミリーに共通な2次受容体認識機構を証明した。この結合様式は、溶液NMRを用いた相互作用実験や、SAXSを用いた溶液構造の解析からも支持された。また、各受容体は3つの免疫グロブリン様ドメイン (N末端からD1, D2, D3) から構成されていたが、2者界面におけるIL-18Rα-D1のコアジスルフィド結合の欠失や、3者界面における両受容体D2のdストランドの欠失を明らかにすることで、IL-1RAcPと対照的なIL-18Rβの特異的な2者複合体認識を説明した。さらに、IL-18と各受容体の変異体を用いて相互作用実験、細胞機能実験を行うことで、複合体形成とシグナル伝達に係わる重要な残基を確定した。得られた情報は、自己炎症性疾患やアレルギーなどに対する治療薬(低分子化合物、及び生物製剤)の設計に寄与すると期待される。
一方で、2量化能を有するタンパク質 (ドメイン) とのキメラを用いたヘテロTIR複合体の機能・構造解析に関しては、各タンパク質の精製には成功したものの、3者以上の高次複合体形成は確認できなかった。そのため、細胞実験によりリンカー長のスクリーニングを行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

新規対象であるTIRドメインのヘテロ複合体構造に関する研究ついては未だ遂行中であるが、炎症性サイトカインであるインターロイキン18とその受容体との複合体構造を解明し、その成果を纏めることが出来た。

今後の研究の推進方策

新規課題であるTIRドメイン複合体の解析に関しては、タグタンパク質とTIR間のリンカー長を最適化することが出来ている。最適化前のコンストラクトについては精製に成功しているので、同じ手順で最適化後のコンストラクトの精製を進め、高次複合体の形成と構造解析を試みる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] The structural basis for receptor recognition of human interleukin-182014

    • 著者名/発表者名
      Naotaka Tsutsumi, Takeshi Kimura, Kyohei Arita, Mariko Ariyoshi, Hidenori Ohnishi, Takahiro Yamamoto, Xiaobing Zuo, Katsumi Maenaka, Enoch Y. Park, Naomi Kondo, Masahiro Shirakawa, Hidehito Tochio and Zenichiro Kato
    • 雑誌名

      Nat. Commun.

      巻: 5 5340 ページ: 1-13

    • DOI

      10.1038/ncomms6340

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Purification, crystallization and preliminary X-ray crystallographic analysis of human IL-18 and its extracellular complexes2014

    • 著者名/発表者名
      Takeshi Kimura, Naotaka Tsutsumi, Kyohei Arita, Mariko Ariyoshi, Hidenori Ohnishi, Naomi Kondo, Masahiro Shirakawa, Zenichiro Kato and Hidehito Tochio
    • 雑誌名

      Acta Crystallogr. Sect. F Struct. Biol. Commun.

      巻: 70 ページ: 1351-1356

    • DOI

      10.1107/S2053230X14016926

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Crystal structure of the extracellular signaling complex of interleukin-182014

    • 著者名/発表者名
      Naotaka Tsutsumi
    • 学会等名
      IUCr2014
    • 発表場所
      Montreal, Canada
    • 年月日
      2014-08-07
  • [備考] 免疫・神経難治疾患の治療薬開発を促進するインターロイキン18複合体立体構造を解明

    • URL

      http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2014/141215_1.html

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公開日: 2016-06-01  

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