研究実績の概要 |
本研究はハイブリッド型分子標的ペプチドであるEGFR-lyticペプチドの食道癌細胞株に対する有効性をin vitro, in vivoの実験系で検証し、食道癌、特に抗癌剤耐性食道癌に対する有効な治療法を確立することを目的とした。年次計画に沿って平成26年度は下記のことを明らかにした。 食道癌細胞株(TE-5, TE-8, TE-10, TE-11)のEGFR発現量、EGFR変異の有無をWestern blot法、PCR法で検討し、全ての食道癌細胞株におけるEGFRの発現を確認した。またこれらの細胞株においてEGFR-lyticペプチドが低濃度(IC50値 < 5μM)の低濃度で抗腫瘍効果を発揮することを確認した。 食道癌細胞株(TE-5, TE-11)から5-FU耐性細胞株(TE-5R, TE-11R)を樹立し、5-FU耐性を確認した。EGFR-lyticペプチドは、親株とほぼ同様に低濃度(IC50値 < 5μM)で抗腫瘍効果を発揮した。位相差顕微鏡でのタイムラプスイメージング及びLDHアッセイにより、この抗腫瘍効果の機序が細胞膜の破壊によるものであり、抗腫瘍効果が短時間(30分以内)で発揮されることを確認した。さらに、悪性度の高い癌細胞に対しても抗腫瘍効果を有することをsoft agar colony formation assayにより確認した。
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