研究課題/領域番号 |
14J02879
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小野 智博 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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キーワード | 放射線治療 / 動体追尾回転照射 / 照射野拡大法 / Vero4DRT / ジンバルX線ヘッド |
研究実績の概要 |
研究課題に掲げた項目について下記の通り示す。 1.臨床展開へ向けた動体追尾回転照射の確立 動体追尾回転照射時における放射線治療機器(Vero4DRT)のガントリー、X線ヘッド部ジンバル機構の指示値と実測値との差を解析し、定量的に評価した。ターゲットの運動を振幅:10-40mm、周期を2-6秒、ガントリー回転速度を4-6度/秒と条件を変えたところ0.1mm以下の誤差で制御可能であることを確認した。また、動体追尾照射中における照射野中心とターゲット中心の位置誤差をEPID上の画像で解析し、0.4mm以下の位置精度で一致したことを確認した。上記内容は論文として報告している(Med.Phys.41(3) 2014)。また動体追尾回転照射時における品質管理(QC)項目として、装置制御精度と照射位置精度を包括的に確認することのできるEPIDを用いた解析法が有用であることを示した。 2.X線ヘッド部ジンバル機構を用いた新照射法の開発 X線ヘッド部ジンバル機構を用いてVero4DRTの最大照射野(150×150mm2)を230×230mm2へ拡大する照射法を開発した。アイソセンター面上で4つの照射野が互いに接するようにX線ヘッド部の回転角度を設定し、拡大照射野を形成した。また、本手法を強度変調放射線治療(IMRT)へと展開した。実臨床で用いられた頭頸部IMRTプラン(照射野サイズ21.3×21.3cm2、放射線治療装置:Varian Clinac iX)を再現し、実測線量分布と計算線量分布を比較した。ガンマ法を用いて定量的に評価したところ、ガンマ3%/3mmの条件で96.4%のパス率を示し、実測と計算が高い精度で一致していることを示した。上記内容は論文として報告している(Med.Phys.41(10) 2014)。照射野拡大法の基礎的な特性とその有用性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
1.臨床展開へ向けた動体追尾回転照射の確立 動体追尾回転照射における機械的位置精度に関する論文が受理され(Med.Phys.41(3) 2014)、また2年目に計画していた実臨床へ向けたQA・QC項目の確立を達成した。臨床的有用性の検討も進めており、順調に成果を上げている。 2. X線ヘッド部ジンバル機構を用いた新照射法の開発 照射野拡大の基礎的研究について論文が受理され、現在、2年目に計画していたX線ヘッド部のジンバル機構を用いた新照射法の開発に着手しており、現在国際学会発表並びに論文執筆に向け準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
1.臨床展開へ向けた動体追尾回転照射の確立 申請書記載の年次計画に従い、現在実臨床で行われている品質管理項目との連携を確立する。また、動体追尾回転照射に、Vero4DRTの垂直方向の回転軸であるリング回転機構を加えた照射法の基礎検討を行い、より自由度の高い照射法の開発も進めていく。 2.X線ヘッド部ジンバル機構を用いた新照射法の開発 新照射法を強度変調放射線治療に展開し、治療部位の適応範囲を広げ、その手法を確立する。また実臨床へ展開するため、新照射法の時間効率、照射効率等も定量的に評価し、従来法との比較を行う。同時に臨床のニーズも把握し、統合的なシステム開発を進める。
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