研究課題/領域番号 |
14J02937
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山田 恭平 東北大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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キーワード | 気候変動 / 雲 / 放射 / 極域 |
研究実績の概要 |
雲の気候変動への影響は大きいが、特に不均質な雲の寄与に関しては太陽との相対的な位置関係や地表面アルベドなどの周辺環境によって変化するため、地表面放射収支への寄与には大きな不確定性がある。本研究は様々な気候条件における観測地点のデータを用いて、地表面における長波放射と短波放射の放射収支と、それに対する不均質雲と地表面の効果を定量的かつ高精度で見積もることを目的としている。 (1). 衛星観測では観測することが難しい小スケールかつ地表面に近い変化を求めるために、亜熱帯、極域を含む8の放射観測地点における継続観測データを用い、雲の下向き長波放射に対する影響を評価した。具体的には雲量、雲底高度、風向、可降水量などの大気状態に対して分類分けし、その寄与を求めた。これは研究実施計画1年目の前期の内容に沿うものである。本結果を纏めた論文は投稿され、受理されている。 (2). 国立極地研究所の一般共同研究共同研究育成研究員として、雪氷面に覆われており、特に地表面の効果が大きい極域の観測地点で長波と短波に対して雲と地表面状態の寄与の見積りを行った。全天カメラとマイクロパルスライダーによって雲の空間分布を推定し、雲と温室効果気体を含めた寄与の長期変動と季節変化、雲の状態に対する変化を見積った。また快晴時における上向き短波放射フラックスの観測値を用いることでアルベドを推定し、カメラで推定した雲分布から、特に短波放射に対する雲の寄与が正になるときの雲分布と地表状態を推定した。本結果は学会にて発表されている。 (3). 太陽直達光を防ぐ遮蔽装置・直達光による加熱を抑制する換気装置が備え付けられておらず、波による傾きや飛沫による影響を評価するため、太平洋西側日本沿岸域のブイ設置放射計の観測値と衛星・再解析プロダクトと比較した。本結果は学会で発表するとともに、現在論文として投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画で1年目前期に行うことを予定していた一次元放射伝達モデルを用いた雲の放射収支への影響の評価は順調に進行し、論文を提出した。 1年目の後期は2年目の前期に行う予定であった極域での放射収支への影響の評価を優先させた。これは国立極地研究所の一般共同研究共同研究育成研究員として採択されたため、極域のデータを効率的に行うことができるようになったためである。このように順番が前後しているが、おおむね順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
1年目後期と2年目前期の計画内容が逆になったものの、予定通り雲の効果を三次元放射伝達モデルを用いて計算する予定である。また、国立極地研究所の一般共同研究育成研究員として採択されていた結果として極域のデータ利用が容易になったため、特に極域での放射収支に焦点を合わせ、9-10月にニーオルスン観測を予定している。
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