研究課題
相界面析出で生成したナノサイズの炭化物は近年自動車用鋼板の高強度化に使われている。これにより、車体の軽量化と燃費の改善が期待される。合金炭化物の分布は温度や合金添加などに強く影響されるということは昔から知られているが、その詳細は分かっていない。本研究はその分布を支配する諸因子の影響およびそれが強度に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。前年度にV添加鋼の結果を踏まえ、NbおよびTi添加鋼の相界面析出に及ぼす変態温度や合金添加量の影響を調べた。簡単にまとめると、Vよりも比較的に少ない量のNbとTiを添加しても、VCと同様な分布のNbC、TiCが相界面で析出し、同程度の硬化が得られる。今年度にVとNb、Tiを複合添加した合金の相界面析出挙動を調べた。三次元アトムプローブの結果によると、析出した炭化物中にVとNb、Tiが均一に分布していることがわかる。また、複合添加鋼のナノ炭化物の分布とその硬化がそれぞれ単独添加鋼の中間にある。これは前年度および前々年度の知見、つまり相界面析出ナノ炭化物の分布は主にフェライト変態中相界面で析出の駆動力によって決まることで説明できる。一方で、炭化物の数密度はその種類と添加量にも依存することがわかる。以上の結果を平成29年ISIJ春学会で報告した。また、結果の一部をActa Materialia誌で発表する予定である。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
Acta Materialia
巻: 128 ページ: 166-175
http://dx.doi.org/10.1016/j.actamat.2017.02.020
Proceedings of 9th Pacific Rim International Conference on Advanced Materials and Processing (PRICM9)
巻: 該当なし ページ: 5-7