研究課題/領域番号 |
14J02955
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
木村 友美 京都大学, 東南アジア研究所, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | フィールド栄養学 / 食事摂取量 / 生活習慣病 / ヒマラヤ高地 |
研究実績の概要 |
平成26年9月、ヒマラヤ高地のインド・ラダーク地方において、住民の健康・栄養状態に関するフォローアップ健診を地元医師・看護師らとの協働で行った。この健診は、5年前から継続して行っている高地での医学健診の追跡調査であり、平成26年度の調査によって、これまで蓄積してきた現地住民の健康データから対比しどのような生活の変化が起こっており、その変化がどのように高齢者の「食」に関連して生活習慣病といった健康状態としてあらわれているのかを検討するものとなる。健診会場としたドムカル村は、深い谷あいにある集落で標高の高いほうから上村、中村、下村と3つに分かれている。それぞれの地域で住民宅に滞在し生活背景を観察することで、食事や生業の背景の特徴についても調査を深めてきた。健診に来られない高齢者宅へは家庭訪問を行うなど、積極的なフィールド調査を行い、合計約80名の住民の調査データ(身体機能、心理的健康度、認知機能などの医学項目、栄養摂取量、食多様性などの栄養項目、生活背景の基礎的情報)を収集した。帰国後のデータ分析も予定通り進めていることろである。 また、ヒマラヤ地域の生活習慣病の現状との比較のため、本邦の地域在住高齢者やスペイン南部アンダルシア地域の住民にも医学・栄養学健診を行い、地域間比較からの考察を深めている。日本食と、スペインを含む地中海式食は、ともに長寿食として報告されており、その背景に、摂取する食品の多様性があげられている。この対極ともいえる、乏しい食資源のもとで暮らす高所住民の食・健康に関する状況の特徴を、これら3地域の比較によってより明確にとらえる。 本邦の高知県土佐町での調査から得られた知見をまとめた報告:高齢者の健康状態に関わる食品摂取の多様性と咀嚼能力に関する論文は、老年医学会国際雑誌において優秀論文賞を受賞している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年9月にヒマラヤ高地・ラダーク地域にて現地調査を行い、データ収集後のデータ入力・解析も進めている。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度に得られた医学・栄養学データについての解析をすすめ、地域ごとの特徴を分析し論文執筆を行う。再度の現地調査も、カウンターパートとの協力によって行う。
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