研究課題/領域番号 |
14J03013
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小野 岳人 東京大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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キーワード | 骨形成 / 炎症 / サイトカイン |
研究実績の概要 |
骨吸収の免疫系による制御の研究が近年著しく進展してきた一方、骨形成における免疫系の関与には不明な点が多い。本研究は骨折治癒過程の免疫系による制御と、異所性骨化を誘導する免疫応答の解析を目的としており、平成26年度は以下の研究成果を得た。 【1】骨折治癒における骨再生過程の免疫系による制御 IL-17A-レポーターマウスを用いた解析から、骨損傷部位で増加し、IL-17Aを産生するΤ細胞サブセットを同定した。このT細胞の増加機構を解析したところ、IL-17A自身は寄与しないことが明らかになった。損傷組織よりこのT細胞サブセットを単離し、RNAを抽出した。また、間葉系細胞にIL-17Aを添加したところ、細胞増殖や骨芽細胞分化の亢進が見られた。 【2】異所性骨化を誘導する免疫応答の実態 マウスにおける異所性骨化の定量的評価法を確立した。また、血清中のタンパク質の解析や組織学的解析から、複数のサイトカインや免疫細胞が異所性骨化過程に関与することが示唆された。この結果から異所性骨化への関与が想定される免疫系の因子について、遺伝子欠損マウスを用いて異所性骨化へ関与を検討する方針とし、解析に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【1】当該年度の計画通り、IL-17A産生細胞のサブセットの解明やそのサブセットの単離ができた。また、IL-17Aの間葉系細胞への作用を明らかにすることができた。 【2】当該年度の計画通り、異所性骨化の定量的評価法を確立できた。異所性骨化を制御する免疫因子の候補について、マウスを用いた解析に着手している。 以上の理由から、おおむね順調であると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの進捗は順調であり、遂行上の問題点は特にない。今後も当初の計画に従い研究を推進する。 【1】単離したIL-17A産生細胞の解析により、IL-17A産生細胞の損傷部での増加機構やIL-17A産生機構を検討する。 【2】免疫関連遺伝子の欠損マウスにおける異所性骨化の検討を行う。異所性骨化にかかわる免疫シグナルの解析を行う。
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