研究実績の概要 |
骨吸収の免疫系による制御の研究が近年著しく進展してきた一方、免疫系による骨形成メカニズムには不明な点が多い。本研究では免疫系による骨折治癒と異所性骨化の制御メカニズムの解析を行った。平成27年度には以下の研究成果を得た。 【1】免疫系による骨折治癒制御 骨折治癒過程ではγδT細胞、特にVγ6陽性細胞がIL-17の主たる産生源であった。γδT細胞を欠損するマウスでは野生型マウスと比較して治癒が遅延していた。以上の研究成果をNature Communications誌に発表した(Ono, Nat. Commun., 2016)。 【2】免疫系による異所性骨化制御 マウスの骨格筋損傷時に局所で発現が上昇するサイトカインの検討を行った。この中で最も発現の高いサイトカインに対する中和抗体を投与し、異所性骨化が抑制されるかを検討した。また、マウスの損傷骨格筋から間葉系細胞を単離、サイトカイン存在下で培養し、骨形成を評価する系を確立した。今後、これらの検討を継続し、免疫系による異所性骨化の制御メカニズムを明らかにする。
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