研究課題
疫病菌Phytophthoraの有性生殖に関するケミカルバイオロジー研究の一環として、当該年度は2つの交配ホルモンα2およびα1の生合成酵素の探索を行い以下の成果を得た。1. α2生合成の最適条件の検討 生合成前駆体であるphytolを含む種々の濃度のV8ジュース培地でP. nicotianaeを振盪培養し、上清中のα2をLC/MSで定量した。その結果、α2は0.1% V8培地で最も産生され、培養2日目から増加し4日目で頭打ちになった。このことから、α2合成酵素の活性(発現量)は貧栄養下ほど高く、培養4日目以降低下することがわかった。2.α2産生アッセイ 0.1% V8培地で2日間培養したP. nicotianaeからタンパク質を抽出し、チトクロムP450の検出に用いられるNADPH、glucose-6-phosphate (G-6-P) およびG-6-P dehydrogenase存在下でphytolを加えてアッセイを行った。反応物中のα2をLC/MSで測定したが、α2への変換は確認されなかった。3. α1生合成の最適条件・菌株の検討 α1産生能が高い(生合成酵素の発現量が多いと思われる)3株を、phytolを添加した20 % V8培地で培養し、α1産生量の経時変化を調べた。その結果、P. cryptogeaの産生量が最も多く、5~6日目に産生量が急増することがわかった。4. α1産生アッセイ 20 % V8液体培地で5日間培養したP. cryptogeaからタンパク質を抽出し、α2アッセイと同条件下、前駆体であるα2を加えてアッセイを行った。α2からα1への変換が確認されたが、その変換効率は0.1 %と生菌による変換と比べて非常に低かった。さらに4 ℃のバッファー中で生菌を弱く潰しても活性が完全に失われたことから、目的とする酵素は非常に不安定と考えられる。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)
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