研究計画に従いシャープレイ値に関する理論研究を行い計4本の論文を発表した。そのうち3本は既に国際学術誌で出版されている。 まず、指導教官である早稲田大学の船木教授と福岡大学の近郷准教授との共同研究で、シャープレイ値の類概念に関する研究を行った。Myerson (1980)が導入した balanced contributions property を弱めた公理を考え、その公理と他の標準的な公理が特徴づける解のクラスを調べた。その結果、egalitarian Shapley value 等のシャープレイ値の類概念を含む広範な解のクラスが特徴づけられることを明らかにした。 2016年6月から7月にはドイツのライプチヒに滞在し、HHL Leipzig graduate school of management の Andre Casajus 教授と共同研究を行った。新たな公理「weak differential marginality」を分析した。この公理は、「二人のプレイヤーの生産性が同じだけ変化した場合、両者の最終的な取り分は同じ方向へ変化する」ことを要請する。Weak differential marginality は、効率性・ナルプレイヤー公理といった標準的な公理と組み合わさることで、シャープレイ値を特徴づけることを証明した。本研究成果はJournal of Economic Theory で出版されている。さらに、Casajus 教授と共に、協力ゲーム理論を用いて望ましい税制度の在り方に関する研究も行った。比例分配という税制度は、いくつかの自然な公理によってサポートできることを明らかにした。本研究成果はEconomics Letters で出版されている。
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