研究課題
銀河の形成史、とりわけ銀河形成と銀河を取り巻く環境に対する理解を深めるため、本年は3つの研究を行った。その3つとは、1)中間赤外線帯における銀河計数と銀河進化モデルの比較、2)爆発的星形成を行う銀河の多環式芳香族炭化水素PAHの放射の欠乏、ならびに3)銀河団環境におけるPAHの放射についてである。銀河形成と周辺環境との関係を理解するためには、まず一般的な環境にある銀河(フィールド銀河)の性質を理解することが重要である。上記1),2)はフィールド銀河について、3)は銀河団銀河についての研究である。以下、それぞれについて簡略に説明する.1)の銀河計数とはある領域中に検出された銀河を波長ごと、明るさごとに求めるものであり、検出された銀河の数は銀河の形成史を反映している。本研究では、あかりの9つの波長帯を使うことで、2-24μm帯を連続的にカバーする初めての銀河計数を作成した.その結果、昔の宇宙ほど赤外線で非常に明るい銀河が多く、銀河の進化にダストが重要な役割をもつことを再確認した.2)では、様々な時代の星形成銀河のPAHの放射を観測することで、銀河内部の物理状態を議論した。これまで、銀河内部の物理状態は時代によって異なることが示唆されていた. しかし本研究では、星形成活動の指標を変えるとどの時代でも銀河内部の物理状態は似通っていることを示した。3)では、銀河団環境にある星形成銀河のPAHの放射強度と、一般環境にあるPAHの放射強度が有意には変化していないことを示した。一般に、銀河の性質は環境によって異なることが知られているが、星形成銀河だけに着目した場合にはこの環境依存性が見られないことを示した。上記のすべての研究は論文としてまとめ、1)と2)はすでに雑誌に掲載されており、3)についても先日雑誌に投稿した。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件)
Astronomy & Astrophysics
巻: 566 ページ: 136 141
10.1051/0004-6361/201423744
Monthly Notices of the Royal Astronomical Society
巻: 444 ページ: 2346-2354
10.1093/mnras/stu1617