現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度は、実廃水中に含まれる代謝能力に優れた細菌の探索とスクリーニングを行った。実廃水から様々な細菌を分離し、代謝能力に優れた分解細菌をスクリーニングするために、廃水処理場(茨城県かすみがうら市、霞ヶ浦浄化センター)から好気、無酸素条件で処理する活性汚泥を採取し、様々な培養条件下で細菌を分離した。系統解析の結果、分離株の多くはAeromonas属細菌であることが明らかとなった。しかし、Aeromonas属細菌では病原性を有する種が複数報告されているため、廃水処理現場へ再投入することは環境汚染と安全性の観点から困難と予想された。そこで、当研究室において別の実廃水から分離実績があるParacoccus属細菌に着目することとした。Paracoccus属細菌は多様な代謝能力を持つことが報告されており(Baker et al., 1998, Microbiol. Mol. Biol. Rev.)、廃水中においても高い代謝能力を示すことが期待できる。本研究では排水中の窒素除去にも寄与することが期待できる脱窒細菌Paracoccus denitrificansに着目して研究を行うこととした。次に、P. denitrificansの活性を生物学的な因子により制御することが可能であるかを検討するため、細胞間コミュニケーションシグナル物質を添加してP. denitrificansの活性を評価した。その結果、P. denitrificansの活性は細胞間コミュニケーションにより制御される可能性を示唆する結果が得られた。現在までの研究進捗として、今後の解析に用いる細菌株の選定を行い、細菌株の活性の測定を行ったことから、計画はおおむね順調に進展していると評価した。
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