研究課題/領域番号 |
14J03573
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
森 大輝 九州大学, 医学系学府, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | 自然免疫 / C型レクチン受容体 |
研究実績の概要 |
1) MCLが誘導するMincleとは異なる獲得免疫活性化機構の解明:MincleとMCLは非常に類似した分子であるが、「発現パターン」と「リガンド親和性」が異なる。MCL固有の機能を担う要因として上述のどちらが重要であるかを明らかにする為、MCL遺伝子座のpromotor領域の後ろにMincleを挿入した遺伝子改変マウスを作製し、獲得免疫応答において、MCLの機能が、「恒常的に発現するMincle」で代替可能か、MCLの「構造」が不可欠であるかを明らかにすることを目的とし,MCL promotor領域の後ろにMincle cDNAを挿入した遺伝子改変マウスを作製した。このマウスの骨髄由来細胞、腹腔浸出液を採取し、MincleとMCLの発現を解析した。その結果、MCLはどちらの細胞種でもzymosanで刺激後に発現が上昇することを見出した。この結果は、MCLはmRNAレベルでは恒常的に発現しているにもかかわらず、細胞表面に発現するためには、何か他の要因が必要であることが示唆された。 2) C型レクチン受容体Dectin-2の新規内在性リガンドの同定:Dectin-2は病原性真菌を認識し、免疫応答を誘導する受容体として知られている。申請者は研究の過程において、Dectin-2レポーター細胞がミエロイド系の細胞に反応することを見出した。次に、このリガンドを同定するために、Dectin-2のIg-fusionタンパク質を作成し、骨髄細胞より誘導した樹状細胞の lysateからこのIg-fusionタンパク質を用いてリガンドを共沈させた。Dectin-2のIg-fusionタンパク質で共沈してきたものを銀染色で確認すると、分子量約70kDaのバンドが得られた。以上よりDectin-2はミエロイド系細胞上に存在するタンパク質を内因性のリガンドとして認識していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請者はC型レクチン受容体によって引き起こされる免疫応答やそのリガンド探索を行っており、結核菌受容体MCL遺伝子座のpromotor領域の後ろにMincleを挿入した遺伝子改変マウスの作製を行った。また、実験の過程において、同じくC型レクチン受容体に属するDectin-2が内在性リガンドを認識することを見出しその生理学的意義を検討している。以上のように、当初の計画とは少し異なるもの、今後の研究の進展が期待され、順調に研究が進展していると考えられる。また、昨年度九州大学生体防御医学研究所リトリート研究発表会においてDectin-2が内在性リガンドに関する研究内容を研究室を代表して英語で口頭発表を行い、優秀口演賞を受賞した。
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今後の研究の推進方策 |
Dectin-2のIg-fusionタンパク質で共沈して得られた約70kDaの分子をマススペクトロメトリーで解析し、この分子の同定を行う。また、この分子が同定できたら、以下の実験を行いDectin-2が内因性リガンドを認識する意義や状況等を検討する。 A) CRISPRを用いて、Dectin-2のリガンド欠損マウスを作成し、生理学的意義を検討する。 B) Dectin-2はリガンドのどの部位を認識しているのかを、免疫沈降法や遺伝子変異導入などを用いて検討を行う。
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