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2014 年度 実績報告書

Wボゾンへの崩壊モードを用いたヒッグス粒子のゲージ結合精密測定

研究課題

研究課題/領域番号 14J03585
研究機関神戸大学

研究代表者

岸本 巴  神戸大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2014-04-25 – 2016-03-31
キーワードATLAS / LHC / ヒッグス粒子
研究実績の概要

大型ハドロン衝突型加速器(LHC)で行われているATLAS及びCMS実験によって、素粒子標準模型において唯一未発見であったヒッグス粒子が発見された。このヒッグス粒子の性質を精密に測定することが、標準模型で予想される通りのヒッグス粒子なのか、もしくは標準模型を超えた物理を示唆するのか、現在素粒子物理学において最も重要な研究テーマの一つとなっている。
本研究は、ヒッグス粒子が二つのWボゾン、さらに二つのレプトンと二つのニュートリノに崩壊するモード(H→WW*→lnln)を用いて、ヒッグス粒子の生成と崩壊比を精度良く測定するものである。この崩壊モードでは終状態に二つのニュートリノを含むために不変質量の再構成が困難で、予想される背景事象を正確に見積もることが重要となっている。そこで、主要な背景事象であるダイボゾンと呼ばれる2ボゾン生成事象、Wとグルーオンもしくはクォークが随伴生成されるW+jets事象の見積もり方法の開発を行い系統誤差の削減をおこなった。また、採用第一年度目はヒッグス粒子のGluon Fusion 生成過程を主な研究対象とした。
LHC-Run1における全てのデータを用いて解析を行い、ヒッグス粒子の信号強度(=信号の観測量/標準模型で予想される量)を約20%で測定した。これは、同様にLHC-Run1のデータ及びH→WW*→lnln崩壊モードを用いた先行研究に対して約30%の測定精度の改善を示すものである。得られた信号強度は誤差の範囲で標準模型の予想と無矛盾なものであった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画通りに背景事象の見積もり及び評価を行い、信号強度の測定を行った。また、これらの結果を論文としてまとめることが出来たため。

今後の研究の推進方策

2015年にはLHC-Run2が予定されているので、この新しいデータを加えることで統計誤差の改善を行う。また、Vector Boson Fusion 生成過程を対象とした解析でも背景事象の見積もり及び評価の手法を確立する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Observation and measurement of Higgs boson decays to WW* with the ATLAS detector2015

    • 著者名/発表者名
      The ATLAS Collaboration
    • 雑誌名

      Phys. Rev. D

      巻: 92 012006 ページ: 1-84

    • DOI

      10.1103/PhysRevD.92.012006

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [学会発表] LHC-ATLAS実験におけるH->WW*->lνlν崩壊チャンネルを用いたヒッグス粒子の性質測定2014

    • 著者名/発表者名
      岸本巴、増渕達也、吉原圭亮、藏重久弥、山﨑祐司、Li Yuan
    • 学会等名
      日本物理学会 秋季大会
    • 発表場所
      東海大学(神奈川県)
    • 年月日
      2014-09-19

URL: 

公開日: 2016-06-01  

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