採用第二年度目は、ヒッグス粒子とW/Z粒子との随伴生成モード (VH associated production )を解析に加えることで、LHC-Run1と呼ばれる2009-2013年に取得された約25fb-1のデータを用いたWボゾンへの崩壊モードによるヒッグス粒子の生成と崩壊測定の最終結果を得た。特に、解析用データの作成、背景事象の見積もりを主導的に行った。解析によって得られたヒッグス粒子の信号強度(μ)は、μ= 1.16 +0.16/-0.15 (stat.) +0.18/-0.15 (sys.)であり、標準模型の予想と誤差の範囲で一致するものであった。さらに、カップリング定数に対するスケールファクター(κ)は、κ_V = 1.06 +0.10/-0.10、κ_F = 0.85 +0.26/-0.20 であった。ここで、κ_Vはヒッグスス粒子とベクターボゾンとのカップリングに対するスケールファクター、κ_Fはヒッグス粒子とフェルミオンとのカップリングに対するスケールファクターを表している。これらも、標準模型の予想と誤差の範囲で一致するものであった。また、Wボゾンへの崩壊モード単体での発見確度 6.5σも達成した。これらの結果を国際会議Higgs Couplings 2015でATLAS実験を代表して発表した。 2015年には予定通り、衝突エネルギー13TeVでLHCの運転が再開され、この新しいデータのためのトリガーの性能評価、及び解析フレームワークの整備も行った。
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