研究課題/領域番号 |
14J03654
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
角田 紘美 早稲田大学, 文学学術院, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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キーワード | 諸宗教の共存 / 国際情報交換 / 歴史学 |
研究実績の概要 |
申請者は中世「西方イスラーム世界」(現在のリビア砂漠以西、チュニジア、アルジェリア、モロッコ、モーリタニアを含む地域である「マグリブ」とイベリア半島のうち711~1492年の間ムスリムが支配した地域を示す「アンダルス」からなる)において、何故、そしてどのような歴史的プロセスによって在来キリスト教が消滅するに至ったのか、ということについて関心を抱いている。というのも一般的に、歴史上ムスリムが統治した多くの地域において、在来のキリスト教徒やユダヤ教徒はズィンミー(庇護民)として扱われ、貢納の代わりに信仰の自由を保障されることでムスリムと共存関係を築いてきたと考えられており、その点において「西方イスラーム世界」の在来キリスト教徒は「イスラーム世界」において特殊な存在と考えられるからである。 本年度は先行研究の把握、また年代記史料のうちアラブ征服期のキリスト教徒にかかわる記述の読解に多くの時間を費やした。史料読解の結果、アラブ征服期には在来のキリスト教徒にかかわる記述が多くみられることが分かった。 一方で先行研究の読解を通じて、効果的な分析枠組みが十分に構築されていないため、そのキリスト教徒にかかわる豊富な記述が、十分に研究成果に活かされてこなかったことが判明した。まずは年代記の記述を十分に活かす、分析枠組みを構築することが当面の課題である。 なお、上述の研究成果は2回の学会報告において公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
先行研究が複数言語、西洋史・イスラーム史・考古学など複数分野にわたって蓄積されているため、蒐集、読解に多くの時間を必要としたため。また年代記テキストが膨大なため、読解に多くの時間が必要だったため。また研究成果をまとめる上で効果的な分析枠組みが構築できていなかったため、研究活動に無駄な過程が多かったため。しかし、これは歴史研究を進める上で通常避けては通れない事柄である。 また、学内の学術団体に対するボランティアの事務活動に多くの時間を使ったため。
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今後の研究の推進方策 |
読解した年代記のテキストを、研究成果に反映するために効果的な研究枠組みを提示する。その上で成果を研究発表・論文へまとめる。
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