研究実績の概要 |
本年度は順序構造が入った状況で数え上げ量化詞の表現力に関する一般的な性質ついて研究した.数え上げ量化詞とはnを考えてる構造の濃度とした時,自然数から実数への関数fを用いて「~を満たす要素はf(n)個存在する」という意味を表す量化詞を指すが,fの値域に関してある条件を満たす任意の数え上げ量化詞はHartig量化詞を定義可能であることを示した.Hartig量化詞とは等濃度量化詞とも呼ばれ「~を満たす要素の個数と,…を満たす要素の個数は等しい」という意味を表す量化詞であり,Hartig量化詞を加えた論理は一般に計算量クラスTC0に対応する.これはすなわち等濃度量化詞がそのような量化詞の中で最も表現力が弱いものと考えることができる.またfがHartig量化詞を用いて定義可能であるならば両者の表現力は一致することも示した. また,本年度は東北大学の彭偉光氏,李文娟氏,田中一之教授と共にGame treeに関する共同研究を行った.Game treeに重みを導入し重み付きGame treeを定義し,各頂点のコストの期待値はその頂点を根とする部分木のコストに一致することを示した.この結果を用いて2007年にLiu-Tanakaによって示され,2012年にSuzuki-Nakamuraによって一般化された uniform binary tree における eigen-distribution の一意性に関する結果が重み付き balanced multi-branching tree にも成立することが示せた.またアルゴリズムのクラスをdirectionalなものだけに制限するとある状況を除いて一意性が成り立たないことも示した.
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