• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実績報告書

飼料タンパク質由来ペプチドがニワトリの生理機能に及ぼす影響

研究課題

研究課題/領域番号 14J03779
研究機関岩手大学

研究代表者

伊藤 謙  岩手大学, 連合農学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2014-04-25 – 2017-03-31
キーワード小麦グルテン / 高分子ペプチド / 腸管オルガノイド / ニワトリ / 反転腸管法
研究実績の概要

飼料タンパク質由来ペプチドの吸収機構を分子レベルで調査するためには、小腸上皮細胞を用いたin vitroでの試験が必要不可欠である。近年、小腸上皮細胞を長期間培養する為にはWnt、EGF、R-spondinなどの小腸上皮幹細胞維持因子が必須であることが明らかとなった(Sato T et al., Nature, 459: 262-266. 2009.)。そこで、様々な動物種のオルガノイド培養に成功している東京農業大学の岩槻健准教授の協力の下、EGF、R-spondin 1、Noggin、Wnt-3aを添加した培養液でニワトリの腸管オルガノイドの培養を試みた。その結果、14日以上の腸管オルガノドの培養が可能となった。引き続き、ニワトリ腸管オルガノイドの調製を行い、細胞の形態を免疫組織化学法により解析し、腸管上皮細胞の種類を同定する予定である。
近年、食事由来の高分子ペプチドが腸管から吸収され、そのまま血中へと移行することが報告されている。しかし、血中へと移行した飼料由来の高分子ペプチドがニワトリの生理機能へ及ぼす影響について調査した報告は無い。そこで、反転腸管法を用いて小麦グルテンのトリプシン消化産物由来の高分子ペプチドが吸収されるか否か調査した。ニワトリから小腸を採取し、空腸は空腸近位部、中間部、遠位部に分け、回腸は回腸近位部、中間部、遠位部に分けた。腸管を反転した後、管腔内に5%O2,5%CO2のガスを吹き込んだHank’s液で満たした。小麦グルテン溶液とHank’s液を1:1で混合し、反転腸管をサンプル溶液中に浸した後、37℃で95%O2,5%CO2のガスを吹き込みながら1時間インキュベートした。その後、抗小麦グルテン抗体を用いたWestern blot を行い、空腸よりも回腸で多くの高分子ペプチドの吸収が認められた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまで、小腸上皮細胞の初代培養は困難とされてきた。しかし、近年、培養液中へ特定の成長因子を添加することで、小腸上皮細胞が三次元組織構造体(オルガノイド)を形成することが明らかとなった。そこで、EGF、R-spondin 1、Noggin、PGE2、インスリン, ニコチンアミドを培養液中に添加し、ニワトリから小腸クリプトを培養した結果、ニワトリ腸管オルガノイドの形成を可能にした。また、培地中にWnt-3aを添加することで、14日以上の培養が可能となった。
近年、食事由来の高分子ペプチドが腸管から吸収され、そのまま血中へと移行することが報告されている。しかし、血中へと移行した飼料由来の高分子ペプチドがニワトリの生理機能へ及ぼす影響について調査した報告は無い。そこで、反転腸管法を用いてニワトリ腸管からの高分子ペプチド吸収を調査したところ、高分子ペプチドは空腸より回腸で吸収されることを示した。
現在は、ニワトリ腸管オルガノドの長期培養と増殖を目的として、上記の成長因子の他にY-27632やA-83-01を添加した培地で培養する準備を行っている。また、吸収された高分子ペプチドのアミノ酸配列を決定する準備も行っている。

今後の研究の推進方策

本研究において、EGF、R-spondin 1、Noggin、Wnt-3a等の特定の成長因子の添加により、ニワトリ腸管オルガノドの調製に成功した。引き続き、腸管オルガノイドの調製を行い、細胞の形態を免疫組織化学法により同定する。
また、オルガノイドの立体構造からシート状の培養が可能となる気相液相界面培養法が注目されている。そこで、ニワトリのオルガノイドも同様に気相液相界面培養法が可能か否か調査する。
これまでに、血中へと移行した飼料由来の高分子ペプチドがニワトリの生理機能へ及ぼす影響について調査した報告は無い。また、反転腸管法により、回腸から小麦グルテン由来の高分子ペプチドが吸収されることが明らかとなった。しかし、回腸から吸収された高分子ペプチドのアミノ酸配列と吸収機構は不明である。そこで、MALDI-TOF/MSを用いてアミノ酸配列の同定を行った後、高分子ペプチドを合成する。
次に、高分子ペプチドの吸収機構を解明するため、調製した回腸上皮からオルガノイドを調製し、調製したオルガノイド中にマイクロマニュピレーターを用いて、テトラメチルローダミンで標識した高分子ペプチドとピノサイトーシス阻害剤であるサイトカラシンBを注入する。サンプル注入後、蛍光顕微鏡を用いて腸管上皮細胞からの高分子ペプチドの吸収様式を観察することを予定している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] ニワトリ小腸上皮細胞の初代培養系構築の試み2015

    • 著者名/発表者名
      伊藤謙
    • 学会等名
      Hindgut Club Japan
    • 発表場所
      専修大学・神田キャンパス1号館
    • 年月日
      2015-12-05 – 2015-12-05

URL: 

公開日: 2016-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi