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2014 年度 実績報告書

ダウン症候群における造血異常の発症メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 14J04075
研究機関大阪大学

研究代表者

大森 早也佳  大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2014-04-25 – 2017-03-31
キーワードダウン症候群 / ヒトiPS細胞 / ゲノム編集技術
研究実績の概要

21トリソミー(ダウン症候群)は700人に1人という小児遺伝性疾患において最も高い頻度で発症し、多彩な合併症を呈する。とくに白血病のリスクが高いことが知られており、ダウン症新生児の約10%が一過性骨髄増殖症(TAM)とよばれる類白血病状態を呈するが、その発症に21トリソミーがどう関わっているのかはまだ明らかになっていない。本研究では21番染色体のトリソミーが造血異常を呈するメカニズムを明らかにすることを目指しており、ダウン症患児から作製したヒトiPS細胞と新規の遺伝子改変技術である人工ヌクレアーゼ(TALEN)を用いて、以下の2点に注目して解析を行っている。
1.部分ディプロイド化21トリソミーiPS細胞の樹立と病態責任遺伝子の同定
21トリソミーiPS細胞を分化させた血球では著しく発現量の高い遺伝子群が存在しそれらは21番染色体上の約4Mbの領域に限局していることが分かってきた。そこでこの4Mbの領域にについて3本の染色体のうち1本分だけ領域を欠失させることを目指し、SNP/STR解析によるアレル評価とTALENによるゲノム編集技術、さらに染色体工学を組み合わせることで目的の部分トリソミーiPS細胞の樹立に成功した。
2.アレル特異的染色体除去の誘導
3本のアレルが等価であるのか、それとも遺伝子発現量に違いが見られるのか、を調べるために、3本の染色体を欠失させた特異的染色体除去の導入を目指した。染色体除去カセットを挿入することにより、3本の染色体をそれぞれ欠失したダイソミーiPS細胞を樹立することに成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

1. 21番染色体のアレル3本のうちの1本に対する4Mbの領域欠失導入(部分ディプロイド化)に関しては、当初は1年目で部分ディプロイド化のiPS細胞を樹立し、2年目以降で血球分化・表現型解析を行う予定であった。しかし採用1年目の始めに部分ディプロイド化iPS細胞を樹立することができた。その後、当研究室の共同研究者による血球分化・表現型解析の結果、この領域がダウン症候群の造血異常に関わっているという非常に興味深い結果を得ることができている。
2. 3本の各アレルを選択的に1本除去するアレル特異的染色体除去に関しては、1年目の目標であった染色体除去技術の確立に成功しており、染色体除去により正常核型になったiPS細胞を各21番染色体について3種類、樹立することができている。得られた染色体除去iPS細胞に関しては、現在2年目に行う予定であった遺伝子発現解析を進めているところである。
以上のことより、いずれの研究においても当初の計画を上回る成果が出ていると考えている。

今後の研究の推進方策

1. 部分ディプロイド化に関しては、標的とした4Mbの領域がダウン症候群における造血異常に重要であるという結果を得ることができており、現在この領域にある22個の遺伝子のうちどの遺伝子が造血異常に関わるかの特定を行っている。この遺伝子群が特定でき次第、論文投稿予定である。
2. アレル特異的染色体除去に関しては、現在得られた染色体除去iPS細胞について遺伝子発現解析を行っているが、今後は血球分化やFibroblastへの分化誘導を行い、表現型が正常に戻るかや、除去した21番染色体の違いで何か表現型に差があるか等について詳細に解析する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Analysis of transient abnormal myelopoiesis in Down syndrome using gene editing technologies2014

    • 著者名/発表者名
      北畠 康司、坂野 公彦、大森 早也佳、平田 克弥、荒堀 仁美、松浪 桂、谷口 英俊、和田 和子、橋井 佳子、大高 真奈美、中西 真人、佐久間 哲史、山本 卓、大薗 恵一
    • 学会等名
      第76回日本血液学会学術集会
    • 発表場所
      大阪国際会議場(大阪府大阪市)
    • 年月日
      2014-10-31 – 2014-11-01

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公開日: 2016-06-01  

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