研究課題
オオミジンコの胚発生における脱皮ホルモンの役割について解析した。前年度、オオミジンコ単為生殖は脱皮ホルモンにより制御されていることを明らかにしたが、胚発生制御については多くがわかっていなかった。本研究では、まず胚発生期の脱皮ホルモン濃度変動をELISA法により解析した。その結果、脱皮ホルモン濃度は胚発生期中に2度ピークになることが明らかになった。また、それぞれのピーク後の脱皮ホルモン濃度低下は胚発生期中の脱皮時期と一致していた。このことから、脱皮ホルモン濃度のピーク後の低下が胚の脱皮を誘導していることが示唆された。さらに、脱皮ホルモン合成経路遺伝子、neverland、shadeの発現変動を解析した結果、脱皮ホルモン濃度のピークに先行して発現が上昇し始めた。次に、neverland、shadeをそれぞれRNAiによりノックダウンしたところ、neverlandノックダウン個体、shadeノックダウン個体どちらも脱皮が阻害され、発生遅延または胚生致死となった。以上の結果から、オオミジンコ胚発生において、脱皮ホルモンは脱皮を制御し胚発生に必須の役割を果たしていることが明らかになった。オオミジンコ脱皮ホルモン合成器官について、前年度、成体の消化管ではないかとの推測が得られた。これは、脱皮ホルモン合成の最初に働く酵素の遺伝子であるneverlandが消化管特異的な発現が見られたためである。胚におけるneverlandの発現をin situ hybridizationで解析した結果、消化管での特異的発現が認められた。よって、胚による脱皮ホルモン合成は消化管で行われている可能性が示唆された。また、neverland、shadeの発現が胚発生期中期より上昇し始めることから、胚の自発的脱皮ホルモン合成は胚発生中期に始まると予想された。以上の結果を国際紙に発表した。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Applied Toxicology
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10.1002/jat.3306