研究課題/領域番号 |
14J04222
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
藤 公博 九州大学, 工学府, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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キーワード | 船体縦曲げ最終強度 / 簡易計算手法 / 共通構造規則 / 有限要素法 |
研究実績の概要 |
船体縦曲げ最終強度は,船体の構造安全性を保証するうえで最も基本的な強度の1つであり,縦曲げモーメントのもとで板および防撓パネルが逐次的に降伏,座屈・塑性崩壊して船体構造が梁としての全体曲げ崩壊に至るまでの挙動を究明することは極めて重要な課題である.また,これまで衝突・疲労・腐食などにより,船体がどのような損傷を受けるかについての研究が活発に行われており,近年では計算機のCPUや記憶装置などのハードウェアならびにソフトウェアの飛躍的な発展に伴って,弾塑性FE解析を直接船体構造に適用する事例が増加している.しかしながら,現時点においてもFEM解析ではモデル作成から計算までに多大な時間を要するため,船体損傷時のような緊急時や初期設計段階においては不向きである. そこで,FEM解析を用いることなく船体損傷後の縦曲げ最終強度を推定する観点から,国際船級協会連合による世界共通の船体構造規則(共通構造規則)に準拠したSmithの方法に基づく船体縦曲げ最終強度計算プログラムを開発し,健全時および損傷後の船体縦曲げ最終強度について効率的かつ精度良く推定可能な簡易計算手法の構築を目指している.この簡易計算プログラムの適用性を拡張するためには,防撓パネルに関して,部材の降伏・座屈および塑性化のみならず,損傷や初期不整の影響,防撓材の横倒れや曲げ座屈の影響および隣接防撓パネルとの連成影響などを複合的に考慮可能な簡易計算手法を構築することが不可欠である. これを受け,系統的な弾塑性FE解析を実施し,その結果に基づいて損傷部材に引張り・圧縮荷重が作用した際の理想化した平均応力~平均ひずみ関係の近似式を考案した.また,防撓パネルに対して弾性大たわみ解析および剛塑性解析に基づく定式化を行い,健全部材の一軸圧縮荷重作用下での平均応力~平均ひずみ関係を解析的に導出する手法について検討を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
船体構造に多く適用される板材および補強材からなる防撓パネルに関して,一連の弾塑性FE解析を実施し,そのFEM解析結果から損傷部材の平均応力~平均ひずみ関係を近似的に再現可能であることを確認するとともに,健全部材の平均応力~平均ひずみ関係を解析的に導出する手法の基盤を築くことができたため.
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今後の研究の推進方策 |
防撓パネルに関して解析的に平均応力~平均ひずみ関係を求める手法を損傷部材にも適用できるように拡張する.具体的には,損傷による強度低下の影響や隣接防撓パネル間で損傷量が異なることで生じる連成影響などを考慮可能な手法を構築する. また,系統的な弾塑性FE解析結果に基づいて,損傷部材の引張り・圧縮荷重作用下での理想化した平均応力~平均ひずみ関係に関する近似式の高精度化を図る.
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