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2015 年度 実績報告書

三量体Gタンパク質αサブユニットのユビキチン依存的分解機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 14J04231
研究機関九州大学

研究代表者

知識 嘉奈子  九州大学, 医学系学府, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2014-04-25 – 2017-03-31
キーワードユビキチン化 / 百日咳毒素
研究実績の概要

ヘテロ三量体Gタンパク質は、α、β、γの3つのサブユニットからなり、細胞膜のGタンパク質共役型受容体(GPCR)が受け取った細胞外のシグナルを、細胞内のエフェクタータンパク質に伝達する。近年、細胞質タンパク質Ric-8Aには三量体Gタンパク質Gαiのタンパク質量を増加させるシャペロンとしての機能があることが注目されている。我々は最近、Ric-8AがGαi2のC末端領域に結合することでGαi2のユビキチン化を抑制し、Gαi2タンパク質を安定化することを報告した。しかしながら、Gαiのユビキチン化についての報告自体がこれまでに殆どなく、Gαiのユビキチン依存的な分解の制御機構については不明な点が多い。本研究の目的は、Gαiタンパク質のユビキチン化の制御機構について明らかにすることである。平成26年度までに、GαiのC末端領域(=Ric-8Aの結合領域)が百日咳毒素によりADPリボシル化されるとRic-8AによるGαiの安定化が抑制され、結果として百日咳毒素処理された細胞ではGαiのタンパク質量が減少することを見出していた。平成27年度は、この百日咳毒素のGαiのタンパク質量を減少させる効果を利用して、哺乳類上皮細胞の極性形成におけるGαiの役割を検討した。イヌ腎上皮由来のMDCK細胞を2次元培養し、上皮細胞の極性形成の指標であるタイトジャンクションの形成を百日咳毒素処理の有無で比較したところ、百日咳毒素処理はタイトジャンクションの形成に影響を与えないことがわかった。さらに3次元培養系を用いて、百日咳毒素処理したMDCK細胞のシスト形成を観察したが、apico-basal polarityを持った一層の細胞層からなる正常なシストが形成され、百日咳毒素未処理のコントロールの細胞との差は認められなかった。以上の結果から、Gαiは上皮細胞の2次元培養系及び3次元培養系の両方において、apico-basal polarityの形成には重要な役割を果たさない可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は、昨年度見出した百日咳毒素のGαiのタンパク質量を減少させる効果を利用して、哺乳類上皮細胞の極性形成においてGαiが必要かどうか検討した。上皮細胞2次元培養系さらには上皮細胞3次元培養系を用いて種々の詳細な解析を行ったところ、Gαiは上皮細胞の極性形成には重要な役割を果たさない可能性を示唆する結果を得ることができた。以上の成果より、順調に研究が進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

これまでに我々は、Gαタンパク質がユビキチンープロテアソーム依存的に分解されること、この分解をGαの活性化因子であるRic-8Aが抑制することを見出し、その分子機構を詳細に明らかにした。さらに百日咳毒素が、Ric-8AによるGαの安定化を阻害するということも見出し、「Gαタンパク質の不安定化」という百日咳毒素の新たな作用とその機序についても明らかにすることができた。しかしながら、細胞におけるGαiタンパク質の量的制御の生理的意義については依然として不明である。平成27年度は上皮細胞の極性形成におけるGαiタンパク質の量的制御の意義を検討したが、Gαiタンパク質は上皮細胞の極性形成には重要な役割を果たさない可能性が示唆された。今後は、Gαiのタンパク質量の制御が、上皮細胞においてどのような生理的意義があるのかについて明らかにしようと考えている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 百日咳毒素はGαiとRic-8Aの結合を阻害することによりGαiのタンパク質レベルを減少させる2015

    • 著者名/発表者名
      知識 嘉奈子、鎌倉 幸子、早瀬 純也、住本 英樹
    • 学会等名
      BMB2015(第38回日本分子生物学会年会・第88回日本生化学会大会 合同大会)
    • 発表場所
      神戸ポートアイランド
    • 年月日
      2015-12-02 – 2015-12-02

URL: 

公開日: 2016-12-27  

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