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2014 年度 実績報告書

コヒーシン単分子解析による姉妹染色分体間接着確立機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 14J04283
研究機関名古屋大学

研究代表者

菅家 舞  名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2014-04-25 – 2017-03-31
キーワードコヒーシン / 姉妹染色分体間接着 / ヘテロクロマチン / ペリセントロメア / Dmt
研究実績の概要

細胞の増殖には、遺伝情報の正確な複製と分配が必要である。細胞は複製された染色体のペア(姉妹染色分体)をコヒーシンによって物理的に接着することで、どれが正しいペアであるかを識別している。コヒーシンはG1期に染色体全体に結合してS期に接着を確立するが、分裂期に入ると腕部領域のコヒーシンが外され、ペリセントロメア領域のコヒーシンが残されてその領域で接着が保たれるため、ペリセントロメアでの姉妹染色分体間接着は非常に重要である。 これまでに、マウスの研究からペリセントロメアヘテロクロマチンに局在するコヒーシンは、サブユニットやコヒーシン結合因子が腕部のコヒーシンとは異なることが報告されている。このようにペリセントロメアでの姉妹染色分体間接着には腕部領域とは異なる機構が働いている可能性が示唆されるが、それは明らかではない。
Sororinは接着確立に必須のコヒーシン結合因子であり、DNA複製に依存してコヒーシンに結合し、コヒーシンを安定化する。Dalmatian (Dmt)はショウジョウバエにおけるSororinオルソログであると考えられ、興味深いことに、S期にペリセントロメアヘテロクロマチンに結合する。Dmtがヘテロクロマチン領域で姉妹染色分体間接着を確立する仕組みを調べることで、真核生物間で共通するペリセントロメアでの接着確立機構を明らかにできると考えた。
Dmt断片の解析から、DmtはN末でヘテロクロマチンに局在することが分かり、N末断片のMS解析により、この領域がヘテロクロマチンタンパク質HP1と相互作用することが明らかになった。興味深いことに、ヒストンシャペロンCAF-1はHP1と相互作用し、ペリセントロメアヘテロクロマチンの複製に必要である。CAF-1のsiRNAで姉妹染色分体間接着に欠損が見られたことから、今後はCAF-1がどのように接着に関わるかに注目して解析を進めていく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

実験を綿密に計画して実行することがうまくできず、失敗を繰り返してしまい時間を浪費してしまった。
しかし、Dmtの細胞内での局在に関して、DmtのN末がヘテロクロマチン局在に必要だということを明らかにした。これまで得られていなかった新たな知見を得ることができたので、ある程度の進展はあったと考えている。

今後の研究の推進方策

まず、CAF-1 RNAiで姉妹染色分体間接着に欠損が見られるか調べる。同時に、CAF-1のRNAiによってHP1やDmtの局在、HP1局在に必要なヒストン修飾H3K9meに異常が見られるかを調べる。CAF-1にはHP1結合モチーフが存在し、マウスではこのモチーフを欠いたCAF-1はヘテロクロマチンの複製に欠損を示すことが報告されている。ショウジョウバエでもこのモチーフが重要なのか調べるため、モチーフを欠いた変異タンパクを作製してS2細胞に導入し、内在のCAF-1をノックダウンすることで、このモチーフの機能を調べる。
また、CAF-1 RNAiで細胞周期のどの段階で欠損が出ているのか解析する。マウスの解析ではS期の中でもmid-late S期に欠損が出ると報告されている。RNAiをかけたS2細胞をEdUラベルすることで、どの段階の細胞が蓄積するかを観察する。HP1結合モチーフの変異タンパクを発現させた細胞でも同様の解析を行う。
DmtのMS解析でCAF-1が検出されていたので、この2つの因子間に直接の相互作用があるかを調べる。in vivoでのIP実験を行い、相互作用が確認されれば、in vitroで直接の相互作用か調べる。さらに、相互作用領域の特定をする。相互作用領域を特定したら、その領域に変異を導入したタンパク質を作成してS2細胞に導入し、内在タンパクをRNAiしたときの表現型を調べる。
さらに、Xenopusで見られたCAF-1とSororinの相互作用を解析し、相互作用領域を特定する。また、マウス、ヒトでもその相互作用が保存されているのか調べ、相互作用があるなら領域を特定する。Xenopus、ヒト、マウスでCAF-1の姉妹染色分体間接着への機能を調べ、ショウジョウバエの結果と合わせて、真確生物で保存されたヘテロクロマチン領域での接着確立機構について考察する。

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公開日: 2016-06-01  

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