本年度(平成27年度)は、前年度(平成26年度)に開発された特別支援教育成果評価尺度(SNEAT)の信頼性・妥当性を検証することを目的とした。前年度に収集したデータは、沖縄県の特別支援学校10校において、縦断的に授業評価を実施し、93件のデータを回収することができたため、本年度は、それらのデータ分析を行うことを目的とした。 分析の結果、信頼性の検証では、再検査法で級内相関係数と内的整合性法でクロンバックα係数を算出し、いずれも0.7以上となり、高い信頼性を得られることができた。また、妥当性の検証では、構造方程式モデリングを使用した。構造方程式モデリングの中でも縦断データを取り扱うことのできる潜在成長曲線モデルを使用し、良好な適合度を得られることができた。さらに、分析により、授業成果に影響を与える要因として、教師の基本属性(「特別支援学校教諭免許状保有の有無」「特別支援教育の経験年数」「担当する学年」「担当する子どもの障害種」)が関係することが明らかとなった。 これらの研究結果は、論文として取りまとめ、The Tohoku Journal of Experimental Medicineに掲載された。また、Asian Society of Human Serviceや日本臨床運動療法学会の学術大会で発表した。さらに、Journal of Clinical Rehabilitationの依頼原稿を受け、掲載された。 また、研究結果に関しては協力を得られた特別支援学校にフィードバック及び結果報告を行うことも計画した。協力が得られた沖縄県内の特別支援学校に書面でフィードバックし、その中でも5校の学校には訪問し、管理職や教員等を対象に口頭説明し、結果に関する情報交換を行うことができた。
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