研究課題
本研究は胚性幹細胞から誘導された始原生殖細胞様細胞をモデルとし、始原生殖細胞形成過程のDNAメチル化制御とその遺伝子発現への影響を明らかにすることを目的としている。本年度は、昨年度にデータ取得の終了した胚性幹細胞、エピブラスト様細胞、始原生殖細胞様細胞の全ゲノムDNAメチル化データと全転写物データを統合して解析した。胚性幹細胞では多能性維持に関わる遺伝子周囲のDNAは低メチル化し、遺伝子発現の活性化と関わっているのに対して、始原生殖細胞様細胞では体細胞で発現する体節形成遺伝子周囲を低メチル化するが、他の抑制性修飾の一つH3K27me3を導入することでその発現抑制を保つことが分かった。つまり、胚性幹細胞では活性化される遺伝子周囲のDNAメチル化を除いて遺伝子活性化複合体を呼び込む足場を作るのに対して、始原生殖細胞様細胞は抑制される遺伝子周囲のDNAメチル化を除いて遺伝子抑制複合体を呼び込む足場を作ることが示唆された。
1: 当初の計画以上に進展している
3年目に予定していたDNAメチル化と遺伝子発現の統合的な解析まで終了したため。
始原生殖細胞様細胞では体細胞で発現する体節形成遺伝子周囲を低メチル化し、ポリコーム複合体をリクルートすることで抑制状態を保つことが分かった。これら遺伝子の積極的なDNA脱メチル化に関わる因子を明らかにしたい。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)
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