研究課題
本研究の目的は、ラットを用い排卵中枢である前腹側室周囲核(AVPV)に局在するキスペプチンニューロンの活動を上位で制御する神経メカニズムを明らかにすることである。キスペプチンによる性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)分泌促進効果はさまざまな動物種で報告されているが、キスペプチンニューロンをさらに上位で制御する神経ネットワークは不明である。今年度は、昨年度に引き続きオスラット由来の嗅覚刺激によりメスラットの排卵中枢キスペプチンニューロンが活性化し,黄体形成ホルモン (LH) の分泌が亢進するか検討すること、および、それに加えてオスラットにもAVPVにキスペプチンニューロンが発現することに着目し、オスラットのAVPVのキスペプチンニューロンの制御メカニズムとその生理的意義の解明を目指した。メスラットにオスの床敷を曝露すると、メスラットの活性化AVPVのキスペプチンニューロン数が増加し、LHサージが増強されることが明らかとなった。また、オスラットにおいても、メスラットとの同居刺激によりAVPVのキスペプチンニューロンのKiss1遺伝子発現が増加すること、さらにメスとの同居直後から血中LH濃度が増加することが明らかとなった。以上のことより、メスラットではオス由来の嗅覚刺激が、オスラットではメスとの同居による刺激が、キスペプチンニューロンを上位で制御し、LH分泌を亢進することを明らかにした。本研究で得られた成果をまとめ、現在Journal of neuroendocrinology誌に投稿中である。本研究により明らかとなったAVPVキスペプチンニューロンの上位制御メカニズムの解明は、家畜の繁殖技術を向上するための解決策への応用が期待される。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Neuroendocrinology
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10.1159/000445207
日本下垂体研究会誌短報