研究課題/領域番号 |
14J04407
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
柏木 美樹 東京大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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キーワード | ヘッジホッグ / Gli1 / Gli3 / 骨折 |
研究実績の概要 |
H26年度は、活性型Gli3および抑制型Gli3の上流に位置するHedgehog(Hh)に関しての実験を遂行した。今後のGli3の機能解析、骨治癒過程での評価においてもHhを含めた包括的な解析は重要な情報となる。 まず、8週齢のマウスの脛骨に骨折モデルを作製し、コントロール群とHhシグナル活性化群に分けて骨治癒過程を評価した。Hhシグナル活性化群には、術後1日目に、Hhシグナルを活性化するSmoothened agonist (SAG)の骨折部への局所投与を施行した。術後7、14日目にサンプル回収し、マイクロCTによる解析を施行した。SAG投与群では、仮骨形成量が増加しており、Hhの仮骨形成への関与を確認した。 また、骨治癒過程におけるHhシグナル応答性細胞の機能に関し、Gli1-CreERT2マウス脛骨骨折モデルを用いた実験を予定している。そこで、Gli1-CreERT2マウスより採取した骨髄幹細胞にSAGを加えて2日間培養し、Hhシグナルの下流に位置する標的遺伝子Gli1が発現、その結果Creの発現が上昇することをRT-qPCRを用いて確認した。以上より、Hhシグナル活性化に対し、Creシステムが正常に機能していることが確かめられた。次に、Gli1-CreERT2マウス脛骨骨折モデルを作製した。Hhに応答した細胞がGli1を発現するという報告より、Creの発現を免疫染色にて確認する。Hhシグナル活性化群については骨折作製後1日目に骨折部にSAGを局所投与した。現在、サンプル回収まで終了している。 以上、1年目はHhの解析、骨折モデルの確立・評価を中心に進めてきた。骨治癒過程におけるHhの関与が示唆され、活性型Gli3および抑制型Gli3の骨治癒における機能も期待される結果が得られた。さらにHhシグナルに関する機能解析を進め、Gli3の機能解明へとつなげていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H26年度は、今後の実験計画の準備実験を主に施行してきた。in vitro, in vivoのどの実験系からも、予想通りの、今後の実験につながる有用なデータを得ることができた。また、in vivo実験に必要な技術、知識も身につけることができ、これらを利用してさらに解析をすすめていきたいと考えている。以上より、1年目の研究達成度としてはおおむね順調であったといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後はGli1-CreERT2マウスを用いたHh応答性細胞の機能解析をさらにすすめていく。また、骨折モデル、骨欠損モデルを用いたHhの骨治癒過程への関与についても検討していく。具体的には、Hh反応性細胞の分布、発現時期、細胞運命等を解析し、骨治癒にどのように貢献しているかについて検討していく。研究課題の主なターゲット遺伝子である活性型Gli3、抑制型Gli3に関しても、上記の実験から得られた結果を踏まえて、順に機能解析を行っていくことを予定している。 また、データがまとまり次第、学会等での発表を検討している。
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