研究実績の概要 |
結び目の位相不変量であるHOMFLYPT多項式とKauffman多項式に零番係数多項式として共通に含まれるΓ多項式とそのケーブル化不変量の研究を行った。 1.ケーブル結び目とKanenobu結び目のアーク指数の研究(Hwa Jeong Lee氏との共同研究)を行った。ケーブル結び目のアーク指数の上からの良い評価を与えるアルゴリズムを構成し8交点までの素な結び目の2ケーブル結び目とWhitehead doubleのアーク指数の表を作成した。アーク指数の下からの評価はKauffman多項式によるMorton-Beltrami不等式で与えられるが、Kanenobu結び目の無限族k(n) (n=0,1,2,…)の場合は、その下からの評価がすべてのnに対して一定になってしまう。本研究では、ケーブル結び目のアーク指数に関するアルゴリズムと2ケーブルΓ多項式を応用することで、nが増大するに従い、Kanenobu結び目k(n)のアーク指数の下からの評価も増大することを証明した。 2.結び目のクラスプ数とΓ多項式の研究を行った。これまでクラスプ数は結び目のAlexander多項式に関連して研究されてきた。特にクラスプ数が2までの結び目のAlexander多項式は特徴付けられている。本研究では、クラスプ数が2までの結び目のΓ多項式の特徴付けに成功した。 3.ミュータント結び目とケーブルΓ多項式の研究を行った。Γ多項式、および、その2ケーブル多項式や3ケーブル多項式では、どんなミュータント結び目の組も区別できないことが知られている。本研究では、ミュータント結び目の組で交点数が最小であるKinoshita-Terasaka結び目とConway結び目の組について研究を行った。コンピュータを駆使することで、4ケーブルΓ多項式と5ケーブルΓ多項式では、それらの組を区別できないことが分かった。
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