• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2014 年度 実績報告書

癌細胞におけるG2チェックポイント機構の解明と新規治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 14J04635
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

増田 健太  慶應義塾大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2014-04-25 – 2016-03-31
キーワードLATS1 / APC/C / CDC26 / 分裂期
研究実績の概要

LATS1(Large tumor suppressor)は癌抑制遺伝子として同定されたセリン・スレオニンキナーゼである。LATS1と相同性をもつDbf2キナーゼは、分裂酵母においてDbf2-Cdc14伝達系によりユビキチンリガーゼであるAPC/Cを介して、分裂期脱出(Mitotic Exit Network: MEN)を制御することが知られている。一方でLATS1の細胞周期分裂期における詳細な制御機構については不明な点も多い。そこで本研究では、LATS1による細胞周期における新たな機能を解明するため、網羅的なリン酸化プロテオーム解析を行った。 LATS1によりリン酸化されるタンパク質を探索したところ、APC/Cのcomponentの一つであるCDC26を同定した。続いてリン酸化部位を同定するために、in vitro kinase assay解析を行った結果、CDC26 T7のリン酸化部位を同定した。CDC26 T7に対するリン酸化抗体を作成し解析したところ、分裂期でCDC26 T7のリン酸化が増強し、LATS1およびLATS2のノックダウンにより減少することから、LATS1/2がCDC26のリン酸化に関与していることが明らかになった。CDC26はAPC/C内においてTPR(tetratricopeptide repeat)モチーフを有するAPC6と直接結合しているが、T7をアスパラギン酸(D)に変異したタンパク質(CDC26 T7D)ではAPC6との結合が低下した。さらに内在性のCDC26をCDC26 T7Dに置換し、ゲル濾過クロマトグラフィーにより解析を行うと、APC/Cの会合が変化した。本研究により、APC/Cをリン酸化するキナーゼとしてLATS1/2が同定され、LATS1/2が直接APC/Cに作用するメカニズムが存在することが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

今回、LATS1の新規基質としてCDC26を同定することができた。CDC26は、ユビキチンリガーゼAPC/Cを構成するタンパク質の一つである。解析対象がタンパク質の複合体であるために、タンパク質間の結合やAPC/Cの機能解析を証明するために非常に苦労したが、他施設との共同研究を行うことにより、ゲル濾過クロマトグラフィー及び分子動力学的シミュレーション解析による多角的なアプローチを行うことができた。その結果、論文発表に至ることができたため当初の計画以上の進展があったと評価したいと考えている。

今後の研究の推進方策

今回、LATS1によりリン酸化されるタンパク質としてCDC26を同定し、CDC26 T7がリン酸化部位であることを発表した。研究の段階で、CDC26のカルボキシル末端にはBRCT binding motifを有し、LATS1によるリン酸化を受けるセリン/スレオニンが存在することを得ている。
今後はさらにカルボキシル末端のリン酸化部位の意義について解析を行い、LATS1による分裂期制御機構を解明したいと考えている。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] LATS1 and LATS2 Phosphorylate CDC26 to Modulate Assembly of the Tetratricopeptide Repeat Subcomplex of APC/C.2015

    • 著者名/発表者名
      Masuda K, Chiyoda T, Sugiyama N, Segura-Cabrera A, Kabe Y, Ueki A, Banno K, Suematsu M, Aoki D, Ishihama Y, Saya H, Kuninaka S
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 10 ページ: e0118662

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0118662

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [学会発表] LATS1, LATS2はCDC26をリン酸化し,APC/Cを構成するTPRモチーフを有するタンパク質の会合を調整する2015

    • 著者名/発表者名
      増田健太 千代田達幸 植木有紗 國仲慎治 佐谷秀行
    • 学会等名
      平成26年度「個体レベルでのがん研究支援活動」ワークショップ 個体レベルでのがん研究の新展開―細胞の可塑性と発がん―
    • 発表場所
      滋賀県、琵琶湖ホテル
    • 年月日
      2015-02-05 – 2015-02-06

URL: 

公開日: 2016-06-01  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi