本研究では物質系を用いた量子メモリと量子波長変換を用い、光ファイバ通信を経由した長距離量子通信を目指す。これまで多くの物質系を用いた量子メモリの実証は可視光領域の光で行われてきた。これらの可視光領域の光に対して量子波長変換を用い、光の量子状態を保持したまま赤外領域にある光通信波長帯の光に変換することにより長距離間での通信が可能となる。本年度はRb原子集団を用いた量子メモリの準備のため、Rb原子集団の磁気光学トラップの構築を行い、期待通りに進行した。また、量子波長変換器を波長自由度のビームスプリッターとみなし、波長780 nmと1522 nmの2光子を干渉させる二光子干渉実験を行った。この結果から量子波長変換器は量子的に動作する波長自由度のビームスプリッターであることが確認され、より広い用途に量子波長変換器が利用できることが期待される。
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